関東から完全撤退していた牛丼チェーン「東京チカラめし」が5月7日、都内に新店舗をオープンして、店名に冠した“東京”におよそ2年ぶりとなる返り咲きを果たした。しかし、その出店先が東京法務局などが入居する九段第2合同庁舎の地下1階であることに驚きの声が相次いでいる。
「東京に復活するのは東京チカラめしのノウハウを生かした『東京チカラめし食堂』で、看板メニューである『元祖!焼き牛丼』に加え、庁舎内で働く人たちのランチタイムのニーズに応えて日替わりの定食メニューやそば、うどんなども提供するといいます。同店の営業時間は11時〜14時で、庁舎内で働く人だけでなく誰でも利用が可能。今後は会食弁当や会議コーヒーの提供、宴会コースメニューなども予定しているとのことです」(フードライター)
居酒屋「金の蔵」で知られるSANKO MARKETING FOODSが運営する東京チカラめしは、2011年6月に東京・池袋に第1号店をオープンした。“煮る”ではなく“焼く”という珍しいスタイルの牛丼が人気となり、およそ1年後の12年9月には累計100店舗を達成するなど急速に拡大。しかし、その反動でスタッフの教育が追いつかず、利用者から不満の声が増えていくと、急拡大からの急失速で次々と店舗は姿を消していった。22年には唯一東京にあった西新宿1号店が閉店し、23年11月には関東最後の砦であった新鎌ヶ谷店も閉店。国内には大阪日本橋店の1店舗を残すのみとなっていた。
「その後、東京チカラめしは香港やタイに出店していましたが、海外展開が好調だったこともあり、再び東京で勝負することを決めたといいます。なお、なぜ庁舎内に出店したかというと、同社は農林水産省内の食堂に出店するなど食堂受託事業に取り組んできた縁があり、また急拡大からの急失速を経験したことでまずは手堅いところから出店していくという狙いがあったとみられています。ただ、あまりに手堅すぎて庁舎内で1日3時間の営業では一般人にはなかなか利用しづらいかもしれませんね」(同)
このまま“東京”に定着することができるのだろうか。
(小林洋三)