一方で「株は長期持てば勝ち、短期は負けます」と言うのは、株式専門家のA氏だ。
「投資の神様と言われるウォーレン・バフェットが、若い頃に買ったコカ・コーラの株を一度も売らずに買い続けて世界一になったのは有名な話です。日本でもバブル崩壊で紙くずになった株が、30年かけて上がっている、という例はいくらもあります」
だとしたら、今持っている株は、株価がいくら下がっても持ち続ける=ホールドが正解かと思いきや、
「ただし、ただ単純に『儲けたい』だけなら、やはりデイトレードの方が儲かるでしょうね。勝てば、の話ですが。デイトレーダーにとっては、株価が下がった時がむしろチャンスなわけですから」(A氏)
株価が低い時に買い、高い時に売る。これが株の基本だが、その逆をいくのが「空売り」だ。証券会社から株式を借りて売り建て、決済期日までに買い戻して株式を返却し、その差額で利益を得るという取引で、株価が下落する局面でも利益を得ることができる。
「特に海外では、まず空売りから入るのが普通です。そのことを理解していないと、デイトレで勝つのは無理でしょう」(A氏)
つまり「空売り」もよくわからない素人には勝ち目がない、ということだ。
では、素人や初心者でも新NISAなどで勝てる=株で儲かる方法はないのだろうか?
3月1日に「わが投資術市場は誰に微笑むか」(講談社)を上梓した清原達郎氏は、05年にサラリーマン投資家長者として長者番付1位となり、ヘッジファンド運用で個人資産800億円を築いた伝説のファンドマネージャー。23年、喉頭ガンで声帯を失い、引退を決めた今、全人生で得た株式投資のノウハウをすべて明かしたのが前述の著書で、個人投資家に対し「大型株のETF」投資と「割安な小型株」への投資を勧め、「日本株式市場でいちばん儲けやすく、しかも大きく儲ける方法は、割安成長小型株を探すこと」として、こんな提案をしている。
「日本株に200万円投資するなら、100万円はTOPIXのETF、残り100万円で以下のような小型投資はいかがでしょう。●小型株の中でPBRとPERで見て割安な株の中から20銘柄ぐらい選んで画面に登録して株価の動きをモニターする。●いろいろな追加情報を得ながら、いちばんいけそうな銘柄から1銘柄10万円程度ずつ買っていく。または、相場全体が急落してその20銘柄すべてが大きく下げたら、大きく下がった10銘柄を一気に10万円ずつ買う。株価が1000円の株なら100株、500円の株なら200株とかで、10銘柄で合計100万円という具合に」
それで買ったら3年ぐらいはその株を持ち、すぐには売らない。最低でも2倍は狙うべき、と清原氏。頻繁に株を売り買いする人にはお勧めしない、という。
本書には、こうした割安小型投資では、機関投資家より個人投資家の方が有利なのではないか、とも書かれている。素人や初心者でもチャンスはあるはずだ。
清原氏の格言に「株式投資に〝才能〟などない」というのがある。言い換えれば、勉強し努力すれば、必ず勝てる、ということだ。
株を始めたばかりの人も、これから株を始めようとしている人も、この言葉を肝に銘じておこう。
「週刊アサヒ芸能」3月28日号掲載