男子サッカーU-23(23歳以下)日本代表が、パリ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23アジア・カップ準決勝でイラクに2-0で勝利。8大会連続12度目となる五輪出場を決めたが、試合後の大岩剛監督の「ホッとしました」と言葉がすべてを物語っていた。日本サッカー協会(JFA)関係者からも「今回ばかりは五輪出場は諦めていました」という声が圧倒的だ。
「この世代はアジアでの公式戦の優勝がなく、U-20(20歳以下)W杯はコロナ禍で中止となり世界大会の経験もなかった。さらに大岩監督が最終予選で選びたかった海外組の選手をほとんど呼ぶことができなかった。五輪出場がかかる大事な大会をそんな三重苦の中で迎えたわけですから、無理もありません」(夕刊紙記者)
この最終予選は国際Aマッチデーの期間ではないためJFAに選手を招集できる権限がなく苦労した。
「とはいえ、五輪出場は逃したものの韓国代表はしっかり海外組を招集していました。JFAは4月から宮本恒靖会長の新体制になりましたが、JFAの海外クラブに向けた交渉力は右肩下がり。宮本会長は現地に激励に一度も訪れることはなく、五輪代表に対するJFAの熱量はこれまでになく冷めています」(大会を取材するスポーツ紙記者)
チームの主力として大岩監督が何度も招集を希望し、本人も出場を希望している久保建英についても、所属クラブとの交渉は難航している状況だ。
「この最終予選の出来では、パリ五輪本大会で守備陣の弱さが命取りになる。確実に点が取れるストライカーもいない。ウィークポイントを解消する策が今のところ何もありません」(前出・夕刊紙記者)
8大会連続の五輪出場に喜んでいる場合ではない。
(小田龍司)