4月20日、米下院は中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の禁止法案を賛成多数で可決した。
「『TIkTok禁止法案』と呼ばれていますが、実際には運営する中国が親会社のバイトダンスが1年以内に事業を中国以外の企業に売却しなければ、全米での配信を禁止するという法案になっています。今年3月にも同じ法案が米下院で可決されていますが、法的な懸念があることから売却期限が半年から1年に延長されました。なお、今後は上院でも可決されれば成立となりますが、バイトダンスはこの法案に反対の意思を示しており、法廷闘争に発展する可能性もあるとみられています」(経済ライター)
アメリカがTikTokを禁止しようとしているのは、中国政府が同アプリから米ユーザーの個人情報を吸い上げようとしていること。さらには、アプリを利用して情報工作を行うとの懸念もあり、今年11月の大統領選前までに法案の成立を急ぎたいとみられている。なお、2022年にはバイトダンスはTikTokを使って複数の記者の位置情報を不正に入手しようとしていたと報じられ、同社はこれを認めて関与した社員を解雇する騒動も起こしているのだ。
「個人情報を奪われたり、情報工作をされたりするのであれば、我々日本人もTikTokを使っていて大丈夫かと不安になる方もいるでしょう。ただ、今のところ中国政府が情報を不正に取得して悪用しているという証拠はなく、アプリを使用することで個人に直接的な害が及ぶことはないと思います。しかし今後、アメリカに続いてTikTokを禁止する国が続々と出てきた場合、当然ながら日本も使用禁止について考えなければならなくなるのは間違いないでしょう」(ITジャーナリスト)
TikTokを使用するのは各々の自由だが、個人情報が吸い取られてしまう可能性もしっかりと考慮して使うべきだろう。
(小林洋三)