若い女性を中心に「生ドーナツ」が大流行している。各地で専門店の開店が相次ぎ、さながら「タピオカブーム」のような盛り上がりを見せているが、一部からは早くも先行きを不安視する声が聞こえてくる。
生ドーナツは、卵とバターを多く配合した生地を熟成し、高温短時間で揚げると、ふんわりもちもちの食感に仕上がることから若い女性を中心に人気になっている。。ドーナツのような「穴」はなく、中にクリームやチョコレートなどが詰め込まれ、店によって独自性を打ち出した商品が多いのが特徴だ。
福岡市発祥の人気パン店が東京・中目黒に2022年に出店したのがブームの始まりと言われているが、最近になってメディアに取り上げられる機会が増え、人気に拍車がかかっている。
一方、ブームの始まりからすでに2年が経過していることから、一部のグルメからは「終わりの始まり」を指摘する声も上がっているようだ。
「もともと口どけがいい食べ物は人気が高く、高級食パンがブームになったのもそのことが理由です。ドーナツはこれまで『ミスタードーナツとダンキンドーナツ』『ポン・デ・リング』『クリスピー・クリーム・ドーナツ』『クロワッサンドーナツ』と4回ブームがありましたが、現在、その熱はほとんど消えています。メディアで紹介されるようになったら、その時点でブームは終わりに向かっていると言っていい。今後は、いつの間にか姿を消している店も出てくるでしょうね」(グルメ誌ライター)
ドーナツはケーキよりも安価でちょっとした手土産にも適しているので、新しい商品が出るとブームの波に乗りやすい。一方、昨今の健康ブームでカロリー過多を気にする層からは敬遠されがちだ。関係者の一部はすでに、初期投資を短期間で回収するための運営に知恵を絞っているといい、はなから長々と店と続けるつもりはないようだ。
気がついたら「どこにも売っていない」なんてことにならないように、気になる人は今のうちにふんわりしっとりした風味を味わっておいたほうがいいかもしれない。
(ケン高田)
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