自民党“目クソ鼻クソ”5番勝負【上川陽子VS高市早苗】新法可決で現実味「女性総理」レースは代理戦争の様相

「初の女性総理」は、現状ではこの2人の候補に絞られたようだ。「動の高市」に「静の上川」、それぞれが思い描く総裁への最短ルートとはーー。

 4月10日の日米首脳会談に先駆けて、前日の9日、1つの新法案が衆議院本会議で可決された。

「経済安全保障上で重要な情報にアクセスできる人員を国が限定する『セキュリティークリアランス制度』を導入する法案です。旗振り役は、高市早苗経済安保相(63)で、大仕事をやってのけたと言っていいでしょう。岸田総理は渡米の前に、どうしても首脳会談の土産代わりにこの法案を通したかった。米側の反応も『日本は秘密を守る国だ』と上々で、高市さんは岸田総理に貸しをひとつ作ったと言えます」(山村氏)

 高市経済安保相は昨年から今秋の総裁選を見越して勉強会を主宰するなど、「推薦人集め」にも積極的に動いてきた。そして重要な法案を通したことで、

「岸田総理も、最近高市さんを重用しているように見える。女性総理誕生に一歩前進したかもしれない」

 と党関係者が語るほど、存在感は増しているのだ。

 逆に派手な動きを見せず、力を蓄えているのが上川陽子外相(71)だ。岸田総理は一時期、自派閥ながら一気に「ポスト岸田」としてメディアに躍り出た上川外相を警戒している、とも伝えられていた。だが最近になって、実情が明らかになってきたという。ジャーナリストの山村明義氏が証言する。

「岸田総理が麻生副総裁や茂木幹事長にも相談せずに派閥解消を決めた際、林芳正官房長官(63)らの側近に加えて、上川外相にもそのことを漏らしていたことがわかったのです。知名度を上げていく上川外相の価値が高まり、手の内に取り込みたいという意識もあったでしょうが、少なくとも悪い関係ではないようです。その証拠に上川大臣は、メディアの『ポスト岸田』連呼を嫌がっている、とも聞いています」

 これはつまり、岸田総理が総理のイスに執着している間は、上川外相もそれに準じるという〝不可侵条約〟が両者の間で結ばれていることに他ならない。仮に総理になるなら、ボスである岸田総理から正式に禅譲される、という形になるはずだ。山村氏が語る。

「党内のキングメーカーである麻生副総裁にとっては、上川外相は、今複数枚持っている〝カード〟の1枚だと思います。その時が来ればカードを切るだけ。初の女性総理の実現性は、決して低くはない」

 また中堅議員は高市経済安保相に言及して、

「カギになるのは、解散手続きを進める安倍派の残党でしょう。裏金問題でコテンパンにされたことで、岸田総理や主流派への恨みもあり、保守層に支持される高市さんとの相性も悪くない。ほとぼりが冷めるまでのワンポイントリリーフのような形で、高市さんが担がれることがあるかもしれません。言い方は悪いですが、党にとってもバリューのある『初の女性総理』を巡る上川さんと高市さんのつばぜり合いは、岸田派と安倍派の代理戦争と言っていいでしょう」

 デッドヒートから抜け出すのはどちらだろうか。

(つづく)

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