「二岡さんのおかげ」巨人・阿部監督がスパルタキャラを封印させた“名参謀”の人心掌握

 プロ野球注目の開幕カードとなった巨人-阪神3連戦は、2勝1敗で巨人の勝ち越しとなった。阿部慎之助監督の初陣となった第1戦、そして2戦目も見事な完封リレー。開幕から2試合連続の完封勝ちは何と83年ぶりとなる2度目。巨人の新人監督が阪神との開幕戦に勝利したのは阿部監督が初だ。

 開幕2戦についてはやることなすことハマってたが、阿部監督自身、「二岡さんのおかげ」と口にしている。今季から一軍ヘッドコーチに就任した、2歳年上の二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチのことである。

 阿部監督は二軍監督時代(2020年~22年)、鉄拳制裁を辞さない“昭和的な指導”で有名だった。プロアマ交流戦で早大に敗退すると選手全員に1時間の罰走を課し“アベのムチ”と選手からもブーイングを浴びていた。一軍監督に就任してからも昨年の秋季キャンプで「クタクタになるまでやってもらう」などとギラギラ感満載だったが、開幕が近づくにつれそれを完全に封印。開幕戦の試合前には選手たちに「皆への信頼は揺るがないから。俺はどうしたら勝てるか必死に考えるから、最高の1年にしようよ」という優しいエールをかけていた。

「阿部監督は『二岡さんのおかげで昭和的なトレーニングは必要がなくなった』とも話しています。スパルタなしでも若い選手をヤル気にさせる抜群の人心掌握術が、二岡さんにはあるのでしょうね」(球団関係者)

 二岡ヘッドは現役時代、不倫スキャンダルもあり、選手会長だったにもかかわらず日本ハムへ移籍した。

「引退後、フリーで巨人と委託契約を結び、外国人助っ人の査定などを本人の希望で行うなど、野球を一から勉強し直していました。2016年に巨人とコーチ契約を結んでからは、今やチームの不動の4番となった岡本和真ら若手を育成し、読売グループからの評価は高い。一方で日本ハムをクビになったりと辛酸も舐め人生経験が豊富。そのあたりは巨人一筋の王道できた阿部監督とは違います」(夕刊紙記者)

 阿部新監督の成功の鍵は、名参謀・二岡ヘッドが握っているのかもしれない。

(小田龍司)

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