公示地価「バブル後最大の上昇」が「実感なき株高」と何ら変わらない“二極化”

「住みやすい」、「魅力度」、「社長が多い」など、よく都道府県がランキング付けされるが、それも何かと拮抗する要素があればこそ。それが「勝ち組」と「負け組」に二極化された場合、競うべきはまた別のところになってしまうのだろうか。

 国交省が3月26日に発表した公示地価では、全国平均が前年比2.3%と上昇し、「バブル後最大」などと報道されている。確かに「地方都市でも億ション」などといった報道もあるが、 すでに4万円台が既定路線になっている株高には「実感なき株高」というフレーズが付きまとっているのと同様、地価上昇も多くの人が実感していないのではないか。

「ドラマのロケ地で外国人の別荘人気が高い北海道富良野市の27.9%アップと、台湾の半導体大手・TSMC景気で沸く熊本県のアップは特別として、北から仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の大都市と周辺の大都市圏で商業地、住宅地共に上昇度が高い。実需に根ざしつつ、富裕層の需要も捉えて地価が上がっています」(経済ジャーナリスト)

 一方、その大都市圏の需要が及ばない地域の下げ率は深刻だ。

「新潟、群馬、栃木、和歌山、山陰2県、四国4県、鹿児島は、23、24年ともに商業地・住宅地の両方で下がっています。株高においても、値段を上げているのはトヨタやファストリ、半導体関連銘柄で、年初来低迷を続けている銘柄はたくさんある。地価の場合はすでに数年前から言われてきたことですが、株と同じで上げる土地・下げる土地で完全に二極化しています」(同)

 中でも象徴的なのが仙台だ。東北地方全体の需要が集中し、東京の地価高騰に反するお買い得感などからREIT(不動産投資信託)の人気も高く、近年は地価が上昇している。一方で同じ宮城県でも、岩手に近い海岸部は下落傾向。ここでも二極化が見られるのだ。

 円安もあっての日本の割安感、そこに少子高齢化が加わって、今後この二極化がより一層進むのは間違いないだろう。

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