近年の自動車盗難の傾向をご存じだろうか？ これまで盗難に遭う車といえば、トヨタ・ランドクルーザー、アルファードなど高級車が主だった。特に中東で人気のあるランクルは、海外に転売することで大金を稼ぐことができることから、窃盗団のターゲットになっていた。
ところがここに来て「軽トラ」の盗難が急増しているという。警視庁が3月に発表した「自動車盗難等の発生状況等について」によると、1位アルファード、2位ランドクルーザー、3位プリウスと人気車種が並んでいるが、6位にスズキ・キャリイ、7位にダイハツ・ハイゼットがランクインしているのだ。
軽トラは都心ではあまり見かけないものの、都下や地方に行けばあちこちで走っており、特に農家ではなくてはならないほど重宝されている。わざわざ盗難のターゲットになるとは思えないのだが…。
「実は今、軽トラは『K-truck』や『mini truck』の愛称でアメリカを中心に世界で大人気になっているんです。これまでアメリカで軽トラを登録するには、セーフティーチェックなどの障壁がいくつかあり、州によっては公道を走れませんでした。ところがこれらのルールが緩和され、走行が認められるようになると、一気に需要が爆発したのです。またアメリカでは、製造から25年が経過した車は安全基準や仕様などの如何を問わず、クラシックカー扱いで原則自由に輸入できるという通称『25年ルール』があり、これに適用される車齢25年以上の軽トラが人気を集めています。コンパクトで使いやすく、農場の見回りなどセカンドカーとして使われているようです」（自動車ライター）
気になるアメリカでの価格だが、日本からの輸送費などを含めても100～120万程度。25年落ちとしてはかなり高く感じられるが、物価が急騰している現地ではむしろ格安なのだとか。またコンパクトでかわいいという理由で購入する人も多いようだ。
地方では作業や買い物などにすぐに乗り出せるように、カギを付けたまま停めている人も多いが、高級車並に狙われている現在、駐車や保管には十分注意した方がいいだろう。
（ケン高田）
