富士急「ド・ドドンパ」営業終了…遊園地がジェットコースターを「スリル減」にせざるを得ない事情

 遊園地「富士急ハイランド」(山梨県富士吉田市)が3月13日、乗客にケガ人が続出したことで2021年8月から運行を停止していたジェットコースター「ド・ドドンパ」の営業を終了すると発表。ファンからは惜しむ声が相次いだ。

「『ド・ドドンパ』は01年12月に開業した『ドドンパ』をリニューアルしたもので、“加速度が世界最大のコースター”としてジェットコースターファンから人気の高いアトラクションでした。しかし20年12月から21年8月にかけ男女4人が頚椎などを骨折する事故が発生し、他にも同コースター乗車後に負傷したという問い合わせが数多く寄せられたことから一時運行を停止していました」(エンタメ誌ライター)

 富士急ハイランド公式HPによると、21年8月から第三者委員会による調査を受けているが、現在まで所管法令や運営・整備等への指摘はないという。しかし客の負傷リスクと逆走停止リスクを完全に除去し、安全運行を確信できる手段については「具体化は困難である」という結論に至ったといい、安全第一を最優先して営業終了を決定したとのことだ。

「かつて、2000年代前後には富士急ハイランドの『FUJIYAMA』や『ドドンパ』、ナガシマスパーランドの『ホワイトサイクロン』(18年閉鎖)、『スチールドラゴン2000』など、世界最長や日本最速、日本最高到達点を謳ったスリル重視 のジェットコースターが数多く登場しました。しかし、こうしたコースターでは乗客が正しい利用法を守らなないことで事故が発生することもあり、最近は子どもから大人まで楽しめるファミリーコースターが主流になっています。大型でより過激なコースターは当然、多額の建設費用や運営費が必要で、『ド・ドドンパ』のように機器に異常がなくてもケガ人が出たことで営業終了しなければならないとなると、運営的にもきつい。今後のジェットコースターは、ますますスリルよりも安全性を重視した方向に舵を切らざるを得ない状況になったのではないでしょうか」(ジェットコースターに詳しいライター)

 なお、「ド・ドドンパ」は解体撤去費用などにも6億1200万円が掛かる見込みだという。

(小林洋三)

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