12万円台で朝食付きも…「ホテル暮らし」のメリットとデメリット

 春は引っ越しシーズン。新たにひとり暮らしを始める人も多いが、最近静かな注目を集めているのがホテル暮らし。1カ月分となると普通の賃貸物件に比べて高額なイメージがあるが、決してそんなこともないようだ。

 大手ビジネスホテルチェーンが提供する30連泊分のマンスリープランを調べたところ、アパホテルが30泊11万7000円からでスマイルホテルが12万円から(※いずれも素泊まり)。一方、スーパーホテルも12万円からだが、こちらは朝食付きだ。料金は同一チェーンでも異なるが、高めに設定されている首都圏でも月15万円以下で滞在できるところが多い。

「単身者世帯の平均が月1万2000円程度の光熱水道費は実質タダ。また、ホテルには無線LANが完備されているので月額2000~4000円のプロバイダー代も不要です。さらに朝食付きのプランの場合、1回500円と計算しても月1万5000円は抑えられます」(ライフスタイル専門誌編集者)

 都心だと築年数が経っていたり、狭小などワケあり物件を除き、ワンルームや1Kで家賃12万円以下のマンションを探すのは難しい。1年ほど前からホテル暮らしを続けている都内の会社員Kさん(30歳)は、「通勤時間が60分から20分と大幅に短縮されました」と話す。

「おかげで7時半に起きても間に合います(笑)。それでいてホテル代は朝食付きで月14万円だし、光熱水道費や朝食代を入れると前に住んでいたマンションとコストはほぼ同じ。こっちは掃除やベッドメイキングだってやってくれるし、思った以上にラクですよ」(Kさん)

 ただし、デメリットもあるようだ。

「会社の規定だとホテルは自宅扱いされず、月1万円の住宅手当が貰えなくなりました。あと、住民票もホテルの住所にするのは難しく、実家に置いているのですが、通知関係が全部そっちに行くのが少し面倒です。それと外国人観光客が戻ってきたことで部屋を確保するのが大変になっています」(Kさん)

 それでも今の暮らしが気に入っているらしく、やめるつもりは当分ないという。

「また、今は登録されている宿泊施設なら全国どこでもOKのサブスク型のホテル暮らしを提供する業者も複数あります。仕事は基本リモートで会社にはたまに出社するという勤務体系の方に人気があり、こちらも利用者が増えています」(前出・編集者)

 フットワークの軽い独り身であれば、こんな暮らしも案外アリなのかもしれない。

マネー