武豊「6億円和解」で「第2黄金期」が到来(3)14頭の有力「アドマイヤ」が…

 引退した平林雅芳氏に代わり、武は昨年初めからC・ルメール(40)も抱える豊沢信夫氏とエージェント契約を結んだのだが、これがみごとに大当たり。いい馬がそろうようになり、昨年は4年ぶりの年間100勝超えを達成する。勝率16.8%、連対率30.3%、複勝率40.7%は、過去10年で最も高い数字だった。

「ノーザン系のクラブ馬(サンデーレーシング、キャロット、シルクなど)は、おおむねルメールへ。そして個人馬主の馬は武に、という具合に、うまく振り分けられていますね。近年はクラブ馬の活躍が目立ち、ユタカ騎乗馬のレベルが心配されましたが、ルメールとほとんど差がないと言っていい」(スポーツ紙競馬担当記者)

 兜氏によれば、

「(武が騎乗した)マイラプソディやラインベックは、牡馬クラシックの有力候補。先のアドマイヤビルゴも、今後の成長しだいで大成が望めます。3月7日のチューリップ賞(桜花賞トライアル)では、ゴドルフィン(=UAE・モハメド殿下)のウーマンズハートへの騎乗も決まった。ここで勝ち負けすれば、6度目の桜花賞制覇も見えてきます」

 今年は1月3週を終えた時点で12勝と、リーディング3位。このままのペースでいけば、昨年の111勝を上回ることは確実視され、

「夏前には通算4200勝を達成していることでしょう。そしてルメールや川田将雅(34)らとリーディング争いを繰り広げる。『第2黄金期』到来の序章となるのではないでしょうか」(兜氏)

 そしてなにより、電撃和解に導いた「遺言」の主、近藤氏は友道厩舎に14頭の愛馬を預けている。有力馬が多い「アドマイヤ」が今後、武に回ってくることで、「第2黄金期」はますます現実のものになろうとしている。

 ちなみに武は毎日杯での落馬負傷から復帰後、ままならない成績から立ち直るためにほぼ毎日、トレーナーを入れて厳しく体を鍛えている。どんな馬でも乗りこなせる体にしているからこそ、50代にして絶好調に突入することができるのだ。周囲には「還暦まで乗れるんじゃないか」と漏らしているという。
 
18年9月に4000勝を達成したあと、武は自身の公式ブログで、

〈世界のビッグレースには名馬とともに参戦して話題を振りまき続ける、そんな存在になりたいというのも、これからの一つの大きな目標〉

 と記している。その目は日本の競馬以上に世界へと向いているようだ。仲のいい世界的名手、L・デットーリ(49)は昨年の英国リーディングこそ24位だが、GⅠの勝利数19はダントツ。彼のように世界中のGⅠレースを制覇し、「第2黄金期」を完全なものにする日を、ファンは待ち望んでいる。

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