ナワリヌイ氏「獄中死」が闇に葬られる「あの男と同じパターン」世界で広がるプーチンへの猛抗議

 やはり、この人物の死にもプーチン大統領が大きく関わっているのだろうか。

 ロシアの反体制派指導者、ナワリヌイ氏が収監先の刑務所で死亡したと2月16日、ロシア政府当局が発表した。詳細についは明らかにしていないが、発表を受けロンドンやベルリンにあるロシア大使館前では、「プーチンは殺人者だ!」などと書かれたプラカードを掲げる人々の抗議行動が行われ、一時はあたりが騒然となったと現地メディアが報じている。

 ナワリヌイ氏は2020年、何者かにより猛毒のノビチョク系の神経剤で襲撃され、ベルリンで療養。帰国後に逮捕拘留され、今年に入ってからは過酷な環境で知られる北極圏の刑務所で収監させていることが明らかになっていた。全国紙国際部記者の話。

「ナワリヌイ氏は支援者らの助けを借りて刑務所の中からも反プーチンの声を上げ続けてきましたが、プーチンとしては目障りでしかたがない人物ではあるものの、さすがに彼を殺してしまうと国際社会からの批難は免れない。それで生かさず殺さずだったのでしょうが、一度でも自分に反旗を翻した者は絶対に許さないという、実に執念深い人物とされていますからね。つまり昨年夏に亡くなった、あの男の死とまったく同じ、忘れた頃に、というパターンが繰り返された可能性が高いということです」

 そう、「あの男」とは昨年8月に自家用ジェット機の墜落で死亡した、民間軍事会社ワグネルの創設者、プリゴジン氏のことだ。同氏は長年、プーチンの盟友、あるいは私設部隊代表として、プーチン氏指導の暗殺計画や裏工作など、いわゆる汚れ仕事をすべて担ってきた。

「ただ、彼らはあくまでも影の舞台で表に出てくることはなかった。ところがウクライナ戦争勃発初期には、その軍事力で功績を上げ国民からの圧倒的支持もあり、それを背景に軍トップであるショイグ国防相や、ゲラシモフ参謀総長を『脳なし』呼ばわりするなど対立。一方ではオリガルヒの支援を受け、ゆくゆくは政界に進出、といった声も上がっていましたからね。あの武装反乱が起こったのは、そんな矢先の6月のこと。しかし、その際にはベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介し、ワグネルをベラルーシに移動させることで表向き手打ちが行われたと思われた。それでも結局、プーチン氏は裏切りを許さなかった。国内外に、やっぱり、というムードが広がったことは言うまでもありません」(前出・記者)

 つまり、今回のナワリヌイ氏、プリゴジン氏同様、「自分に反旗を翻すものは、なにがあろうと絶対に許さない」という、プーチン氏の執念ともいえるメッセージなのか。もっとも、プーチン氏並びに政府当局が殺害を認めるはずもなく、この事件も闇に葬られる可能性は大きい。各国首脳からも大きな批判の声が上がるナワリヌイ氏獄中死事件。3月の大統領選を直前に控え、ロシア国民はどう捉えるのだろうか。

(灯倫太郎)

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