「支援者の葬儀に税金」「車両費が地球10周分」2世議員の政治活動が物議

 自民党派閥の裏金問題が発覚して以降、「政治は金がかかる」という言説をよく耳にする。選挙ではない、ふだんの政治活動でどれだけ金がかかるのか。2月6日放送の「報道1930」(BS-TBS)で政治活動と金の使い道を公開したのは、自民党の武部新衆院議員(当選4回)。小泉政権で幹事長を務めた武部勤元農水相を父に持つ2世議員だ。

 地盤とする北海道12区は「日本一広い選挙区」と言われ、北は稚内から東は知床半島の一部まで、広大な範囲に及んでいる。番組では「日本最大の選挙区で見た政治のリアル」と題して、武部議員の密着VTRをオンエア。移動中の車内で行われたインタビューでは、「選挙で勝つためにスタッフを増やしているっていう感覚はない」と語り、「現場の声っていうのが都市部にくらべても非常に大変な状況にあるんですよ」と、地域住民の話を聞くことの重要性を主張していたが、視聴者が違和感を覚えたポイントについて、メディア誌ライターが解説する。

「VTRでは、武部議員の秘書が支援者の告別式に代理出席するために、6時間もかけて会場へ向かう様子が流れました。ナレーションでは、宗谷地区だけで年間200件もの葬儀に出席していると説明。秘書はこの激務について『代理出席は一番大事』と語り、新年会に出席する姿も紹介されていましたが、番組を見ていた視聴者からは、《秘書を葬式に出席させるのが政治活動?》《冠婚葬祭に税金が…》《どこが政治活動なんだ》と批判の声が寄せられていました」

 現在、公設秘書を含めて12人の秘書が地元北海道と東京で活動しているという武部議員。スタジオのトークでは、司会者から「これだけの数必要ですか?」と聞かれ、「もっといてもいいのかな」と語っていたが、その後、2022年の政治資金の収支状況を公開。支出の欄を見ると、「車両(リース・ガソリン代)」が464万円と記載されていた。

「支援者の葬式を年間200件もまわれば、車両代が400万円を超えるのも無理はありません。8年ほど前、とある議員がガソリン代を230万円も計上して、『地球5周分走ったのか』と揶揄されましたが、武部氏が明かした車両費はその倍。すべてがガソリン代でなくても、今の高性能な車なら10周分に該当する額。しかも、支援者の葬儀出席のために何百キロ、何千キロと走行しているそうですから、これを適切な金の使い方と言えるのか。支出を事細かに公開することで、クリーンな印象を与えたかったかもしれませんが、ネットの反応を見る限り、完全に裏目に出てしまったようです」(前出・メディア誌ライター)

 議員本人もしくは秘書が支援者の葬儀に出席するのは結構だが、一般人は交通費もすべて自腹。これを政治資金の使い道と説明されて納得する有権者はいるだろうか

ライフ