家具・インテリア販売大手の「ニトリ」は1月31日、3月末にオープンする「ニトリ敦賀店」の出店によって国内外のグループ店舗数が1000店舗になると発表した。今後は2032年までに3000店の出店を目指すとし、海外展開に重点を置くという。
東京・北区のニトリ赤羽店で開かれた会見で、2014年5月以来、約10年ぶりに社長に復帰した創業者の似鳥昭雄氏は、今後は年間200店舗ペースで海外店舗を増やしていくといい、今年からはフィリピンやインドネシアなど東南アジアへも出店を進め、8年後に3000店を達成するとしている。
ただ、同社には、アメリカで大失敗して完全撤退したという苦い経験があり、急速な海外での事業拡大を不安視する声もある。経済ジャーナリストが言う。
「今後は海外重視ということですが、アメリカでの失敗をどうしても思い出してしまいますね。同社は12年にニトリUSAを設立して、似鳥昭雄社長の名前からとった『アキホーム(Aki-Home)』をロサンゼルスにオープンさせました。当初はアメリカ国内で1000店舗を目標に掲げたものの、6店舗に増やしたところで勢いは失速して19年には4店舗を閉店させ、23年までに残りの店舗もすべて閉店。出店からおよそ10年で完全撤退となってしまったのです」
1月末までニトリの社長を務めていた武田政則氏はニトリHDの副社長に就任し、今後は海外事業に専念するという。
「もちろん、今後は同じ轍を踏まぬようにさらに研究を重ねて出店計画を練っていくのだと思います。ただ、ニトリは海外では知名度が低く、中国でも苦戦が続いています。中国では1000店舗を目標に掲げているのですが、14年の初出店から未だ100店舗にも届いていないのです」(前出・ジャーナリスト)
返り咲いた似鳥社長による強気の海外出店計画。アメリカでの苦い経験を糧に、ニトリが捲土重を果たせるか、注目されるのである。
(小林洋三)