第96回選抜高校野球大会の出場校32校が発表された。しかし、出場校の選考基準について、またしても物議を呼びそうだ。
「出場校32校は一般枠29、神宮大会枠1に加え、21世紀枠は従来の3から2に変更されました。選ばれた学校自体には疑問点はないのですが…」(アマチュア野球担当記者)
一般枠29校の内訳は、北海道1、東北3、関東・東京6、東海3、北信越2、近畿6、中国2、四国2、九州4。今年から東北と東海が1つ増枠となった。ここで思い出されるのが、22年のセンバツ大会だ。
「一昨年は東海地区秋季大会で準優勝した聖隷クリストファー校が落選し、準決勝で敗れた大垣日大が選ばれて、物議を醸しました」(前出・同)
当時、東海地区の選考委員は試合内容を加味して、大垣日大のほうが本大会で勝ち上がる可能性が高いと判断したことを訴えていたが、その説明に納得した高校野球ファンはほとんどいないだろう。
その後、東海地区は割り当て数が3校に改められたが、今回も22年に酷似した選考がなされていたのだ。
「豊川、宇治山田商、愛工大名電の順で発表されました。豊川は前年秋の優勝校、準優勝は愛工大名電。宇治山田商は4強止まりなのに2枠目でした」(地元メディア)
発表会見の場に集まった地元メディアは、準優勝校が最後の1枠になったこと、4強の宇治山田商が準優勝校に勝る要素は何なのかを質問した。高野連は宇治山田商の失点の少なさを挙げていたが、今回もその説明は波紋を呼んだ。
東海地区が2枠のままだったら、22年の悲劇が再現されていたわけだが、
「そもそも、各地区に割り当てる学校数にも疑問が残る」
というのは前出・アマチュア野球担当記者だ。
「東海地区は野球人口が増えており、これからが楽しみな地域です。東海地区は425校で3枠に増えましたが、北海道は425校に対して1校、四国は154校から2校と、どうしても地域によって不公平感がぬぐえません。また、東海地区で4強の宇治山田商が2番手で選ばれたのなら、なぜ同じ4強の藤枝明誠は補欠校なのかなど、出場校選考を話し合いでおこなうと話がややこしくなるので、やはり、前年秋季大会の結果で自動的に決まるほうがわかりやすい」
大会は3月18日に開幕する。せっかくの熱闘に水を差さないためにも、高野連はセンバツの選考について、明確な基準を設定した方が良さそうだ。
(飯山満/スポーツライター)