値上げ+食品ロス+そもそも文化が馴染まない…「恵方巻離れ」が急加速している!

 節分の夜にその年の恵方を向いて無言で食べきると願い事がかなう…。今やすっかり世間に定着した感のある恵方巻だが、帝国データバンクによると2024年の恵方巻の価格は前年より値上がり傾向にあるという。

「同社が全国の大手コンビニや外食チェーン、スーパーなど104社が販売する今シーズンの恵方巻価格を調査した結果、一般的な恵方巻の平均価格は税込948円だったといいます。これは昨年の909円に比べて39円の値上がりで、一昨年に比べると113円の値上がりとなっていて、大台の1000円も目前です。また、一般的な恵方巻より豪華な『海鮮恵方巻』は平均1729円となり、前年より40円、一昨年より188円の値上がりとなっています」(フードジャーナリスト)

 値上げは原価の高騰などが主な原因だが、それでも小売り業界は1年に1回の「恵方巻商戦」に余念がないようだ。

 ただ、そんな業界の思惑の一方で、恵方巻をめぐっては、毎年のように大量廃棄や従業員への販売ノルマ問題が取り沙汰されている。19年に農林水産省が需要に見合った販売をするよう小売りの業界団体に文書で要請を行ったことで一時的に食品ロスは減ったものの、22年からは再び増加傾向となった。結果、この行事に対して疑問を呈する声も増えているのだ。

「そもそも、『恵方巻という文化は全国的には最近までなかった』『無言で一気食いという食べ方が馴染まない』といった否定的な意見も散見されます。確かに恵方巻は大阪の商人たちの間で商売繁盛の祈願で行われていたともされていますが、実はその起源についてはよくわかっていないのです。コンビニやスーパーが海苔巻きを売るために利用した文化だという指摘もあり、今年は恵方巻を食べない、という人も増えそうです」(前出・ジャーナリスト)

「恵方巻離れ」が進めば過剰なまでの供給が止まり、食品ロスも減るかもしれないが…。

(小林洋三)

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