あなたの「つけま」が北朝鮮のミサイル代に!? 中国に「つけま」「エクステ」大量輸出で外貨稼ぎ

 日テレNNNの独自取材により、北朝鮮のIT技術者集団が中国の首都・北京に潜伏し、外貨獲得工作を行っていた実態が明らかになったが、実はIT技術以外にも“ある製品”で外貨を稼ぎまくっていたことが22日、中国海関叢書(税関)の統計資料分析により判明した。

「その製品とは女性が愛用する『まつ毛エクステ』で、税関の調査によれば、昨年の中国向け輸出で、この品目だけが前年の13倍と突出して増えており、国連制裁下における北朝鮮の新たな資金源になっていると考えられているのです」(北朝鮮ウオッチャー)

 税関の統計資料によれば、昨年度の中国への「まつ毛エクステ」を含む美容用品輸出額は、日本円にして約247億円。前年比で13.4倍も伸びており、北朝鮮の全輸出額のなんと57.1%を占めているという。

「国連制裁により、北朝鮮は鉄鉱石や石炭など地下資源の輸出が全面禁止になり、外貨が稼げなくなった。そこで目をつけたのが、制裁対象ではない手工品だったのですが、もともと北朝鮮では制裁が強化される前からまつげやかつらの加工、輸出を行ってきた。しかもその一部は、『教化所』と言われる刑務所で製造されており、人件費はタダ。そうした背景もあり、北朝鮮が中国への輸出を、まつ毛エクステなどに集中することで、新たな活路を見出したと考えて間違いないでしょう」(同)

 加えて、北朝鮮では昨年1月、新型コロナ対策で国境を閉鎖したため、中国からの原材料輸入や完成品の輸出が完全にストップしてしまった。結果、多くの工場で従業員を解雇し、廃業も相次いだ。

「数千人規模の人手が余っている状況を何とかしなければならないと、これまで電子部品や工業製品を作っていた工場などが続々とまつ毛エクステ工場に姿を変え、再稼働しているといいます。今後も需要は拡大していくと思われますね」(同)

 元々北朝鮮の毛髪加工品づくりは丁寧であるとして評価が高く、かの国の「得意分野」である。中国の量販店で多くの商品が売られており、日本語の取扱説明書を封入し「メイド・イン・チャイナ」として中国から輸入される商品も、じつは北朝鮮で作っていたというケースも少なくないという。その売り上げは、ミサイル開発に充てられている可能性があるということだ。

 もちろん、石炭などに比べれば、まつ毛エクステの1個当たりの売り上げは小さいが、これに全集中して量をつくればそれなりの収入になるだろう。

 制裁の中、生き残りにかける北朝鮮のしたたかさを痛感するばかりだ。

(灯倫太郎)

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