富士通の会計システム「ホライゾン」の欠陥による「郵便冤罪事件」を巡り、富士通の時田隆仁社長は16日、「郵便局長らとその家族の人生に壊滅的な影響を与えたことをおわびする」と謝罪した。時田社長が公の場で事件についてコメントするのは初めてとなる。
同事件は1999年から2015年にかけて英国の郵便局員700人以上が窓口の現金とシステム上の金額が合わなかったとして、横領や不正経理で逮捕。違法な取り立てに心折れ、少なくとも4人の郵便局長が自死している。ところがのちに富士通が納入した勘定システム「ホライゾン」の欠陥だったことが判明し、英国民の怒りが沸騰。大きな社会問題になっている。
日本でもこの一大スキャンダルは大きく報じられているが、この事件を世間に大きく知らしめたのが、ドラマ「ミスター・ベイツ vs ポストオフィス」だ。
「ドラマは今年1月1日から英ITVにて4日連続で放送され、瞬く間に大ヒットしました。ドラマでは郵便局長の1人だったアラン・ベイツが無実を訴えて壮絶な法廷闘争を繰り広げる様子が描かれています。ベイツの勝利は同じように濡れ衣を着せられた他の郵便局長の有罪判決を覆すきっかけとなりました」(ドラマライター)
同ドラマの最終話は英国で1000万人以上が視聴しており、実に国民の約6人に1人が関心を寄せていたというのだから、その注目度の高さがわかるだろう。
現在、日本でも放送を求める声が高まっており、もしかしたらどこかの配信サービスで放送がスタートするかもしれない。
富士通は欠陥のある会計システムで多額の利益を上げてきたが、ドラマを見れば時田社長の謝罪で済む話ではないことがわかるだろう。ブランドイメージは大きく揺らいでいる。
(ケン高田)