富士通、ニューイヤー駅伝の“優勝旗紛失”で蒸し返された個人情報漏えい問題

 富士通は12月16日、今年の元日におこなわれた全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)で優勝を果たして授与された優勝旗を紛失したことを明らかにし、日本実業団陸上競技連合に謝罪した。

 同日、富士通の平松浩樹執行役員常務が取材陣に対応し、「(優勝旗を保管していた総務部門のフロアを)複数回にわたり変更していた」こともあり、11月に日本実業団陸上競技連合へ返還するための準備をはじめたところ、「所在不明となっていることが判明した」と経緯を説明。「紛失、誤廃棄、盗難等の可能性も含めて捜索、調査したが、現在も発見には至っていない」状況で、「間違って廃棄物と一緒に廃棄してしまった可能性も否定できない」という。

 平松常務は実業団連合から「歴代の優勝チーム、関係者に誠意をもって謝罪してほしい」と要請されたことも明かし、今後は謝罪行脚をしていく予定だというが、ネット上では《大事な優勝旗を展示すらせず倉庫に放置してたわけだ。管理があまりにずさんで驚く》《 旗は縦106センチ、横115センチだそうだが、こんなにサイズの大きなものすらちゃんと保管できない富士通はむしろスゴい》《富士通のニューイヤー駅伝への気持ちはその程度なんだろうな。選手たちはショックだろうし、駅伝ファンとしてもショックだ》など厳しい意見が相次いでいる。

「富士通は今年5月に情報共有ツール『ProjectWEB』への不正アクセスによって、東京五輪・パラリンピック組織委員会や国土交通省、外務省、総務省などの129の企業・機関の個人情報などが漏洩したことが大きな問題となりました。その後、攻撃の手口や期間などの明確な説明がなかったことからずさんな対応に批判が噴出しましたが、今回の件でネット上ではこの騒動を蒸し返す指摘も出ています。確かに、優勝旗を紛失させるような企業が個人情報を管理できるのかとの疑念が出てもおかしくない。日本を代表するIT企業だけに、呆れる声が出るのも当然の話です」(経済ジャーナリスト)

 失った信頼は大きいが、何とか見つかってほしいものだ。

(小林洋三)

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