大疑獄事件に発展しそうなパーティー券問題、最初にスッパ抜いたのはあの「機関紙」だった

 ついに安倍派の「清和政策研究会」と二階派の「志帥会」に東京地検特捜部の強制捜査が入った、政治資金パーティー収入を還流させて、政治資金収支報告書に記載せず裏金にしていた問題。派閥事務所への強制捜査は、04年の日歯連事件での当時の橋本派(平成研究会、現・茂木派)以来19年ぶりで2例目というから、現在の混乱がどれだけ異例なものかがわかる。

 一大疑獄事件となりそうなこの問題。朝日新聞が連日スクープを打ち、報道をリードしたが、じつは第一報をスッパ抜いたのは、日本共産党中央委員会の発行する機関紙「しんぶん赤旗」だった。

「昨年11月6日付の『しんぶん赤旗 日曜版』で、自民党5派閥で18~21年までの4年間に4168万円の不記載があったという記事が発端です。そして同紙が政治資金の問題に詳しい法学者である神戸学院大の上脇博之教授にコメントを取りにいったところ、『こりゃヒドいね』という話になって、上脇教授が刑事告発しました。これを受け、東京地検特捜部が捜査を進めていたところ、その動きをキャッチした朝日新聞が、12月1日にスクープしたことで火がついた、というのが事の経緯です」(社会部記者)

 政党助成金をもらっていない共産党の機関紙だからこそのスクープだったと言えるかもしれない。そして赤旗発のスクープと言えば、安倍政権時代の「桜を見る会」問題もそうだった。

「桜を見る会は、毎年4月に内閣総理大臣が主催して行われている恒例の催しでしたが、時の権力者が半ば私物化して後援会関係者らを多数招き、税金で飲み食いさせるのは普通に考えておかしいだろう……という当たり前の感覚から生まれたスクープでした。今回の問題も、派閥と政治家の政治資金収支報告書をつぶさに見比べればアレ!?と気づくもの。だから共に、特別なことをして暴き出したというわけではなく、普通の感覚から手繰り寄せた記事なのです」(同)

 もちろん、そこから地道な調査を重ねているのだが、そこは赤旗の得意なところでもある。ジャニーズ問題もそうだったが、大手メディアからこうした大スクープが出てこないのは寂しい限りである。

(猫間滋)

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