ポスト岸田に急浮上「上川陽子外相」の豪胆素顔(1)「2浪して東大」人呼んで「不屈の人」

 やることなすこと裏目ばかり。見当違いな減税カラ手形に、内閣改造直後の政務三役のドミノ辞任。もはや中折れ状態の岸田政権を見限って、水面下では“ポスト岸田”探しが進行中だ。すると意外にも「日本初の女性総理」が急浮上してきた。

 岸田文雄総理(66)が誇らしげに強調した「適材適所」の人事は、あっさりと崩壊。昨年末は、わずか2カ月余りで4人の閣僚が辞任。10月20日に捲上重来の臨時国会が始まってからは、3人の政務三役がドミノ倒しで辞任する異常事態だ。

 内閣支持率は過去最低の21.3%(16日発表、時事通信)まで落ち込み、相次ぐ地方選でも敗北。危機的状況に追い込まれているが、岸田総理の近況について官邸担当記者が解説する。

「経済対策に盛り込んだ所得税減税が評価されず、支持率の低迷には顔をこわばらせ、ショックを受けている様子でした。それでも、退陣に追い込まれるほどの政局になるとは思っておらず、野党の弱さも相変わらずとあって、焦りは見られません」

 今では「増税メガネ」と揶揄され、断末魔にも“聞かない力”で無視を決め込み、増税路線をひた走る構えだ。

 目下のところ、年内解散は見送られたとはいえ、次期衆院選に向けてこれ以上の逆風は避けたいところ。

 先を見据えて「ポスト岸田」が最大関心事になり、茂木敏充幹事長(68)や河野太郎デジタル相(60)とともに、急浮上しているのが、上川陽子外相(70)だ。

 名前を聞いてもすぐに顔が浮かばないほど地味な存在だが、政治ジャーナリストの山村明義氏は、「自民党の中では数少ない人材」と、評してこう話す。

「これまで日本初の女性総理候補に、高市早苗経済安全保障担当相(62)や野田聖子衆院議員(63)、小渕優子選挙対策委員長(49)などの名前が挙がっていましたが、一番下からごぼう抜きして躍り出ました。世襲でもなく、重鎮に気に入られて出世したわけでもなく、実績で評価された本格派です」

 その経歴は華々しく、東京大学卒業後、米ハーバード大学で政治行政学修士号を取得。現在、当選7回で岸田派に所属。東大の同級生で日銀マンだった夫との間には娘が2人。少子化担当相を2期、法相を5期務めて、総理大臣の有資格者として申し分なし。ただ、キャリアウーマンだが苦労人でもある。

 東大卒でも現役ではなく2浪での入学、96年の衆院選初出馬も静岡1区から無所属で出馬して惨敗。その後、自民党に入党するも、00年の衆院選は公認争いで敗れた。しかし、出馬を強行し、除名されながらも初当選を果たし、見事にリターンマッチ復党にこぎつけた根性の持ち主なのだ。

「1回目も2回目も選挙区で取材しましたが、普通は惨敗を経験したり、除名までされたら政治家をあきらめてもおかしくありません。それでもへこたれる姿は見せない不屈の人。地味だけど芯があって、タダモノではないすごみを感じました」(山村氏)

 一方で、先の自民党関係者はしたたかな素顔をこう明かす。

「キャリアがあってプライドは高いけど、選挙になると有権者の前で平気で泣けるタイプ。ウソ泣きだろってツッコまれることもあるけど、しれっと心をつかんじゃう。ありゃ寝業師だよ」

 頼もしさも見せる上川氏の成り上がり伝説は、まだほんの序の口だった。

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