日本の物価高騰に拍車をかけるエルニーニョの水量不足「パナマ運河」の異常事態

 太平洋と大西洋を結ぶ海上輸送の大動脈として知られるパナマ運河。全長82㎞、幅91~200mの細長い海路を約24時間かけて航行するが、現在この運河には航行制限が設けられている。深刻の水不足により、航行に支障が生じているためだ。

「パナマ運河には26mの高低差があり、もっとも浅い部分で水深12.5mしかないからです。水門で各ブロックを区切って水を注入して先へ進むのですがエルニーニョ現象の影響で雨季(5~12月)から干ばつが続き、そのまま乾季(1~4月)を迎えたので航行に十分な水量を確保できないんです」(物流専門誌記者)

 運営・管理を行うパナマ運河庁が通航船舶数の上限に設定していたのは1日36隻。これが昨年11月からは31隻に削減となり、その後22隻まで減らされた。1月16日からは若干水量が戻ってきたことで24隻に増えたが本来の通航量の6割に過ぎず、回復の見通しは未だ立っていない状況だ。

 かといって、代わりに南米大陸の南側のマゼラン海峡やドレーク海峡を回るルートは、年間を通じて非常に波が高いので航行には適さない。そのため、日本へ向かう船舶の中には地中海からスエズ運河を抜けてインド洋、もしくはアフリカ大陸南端の喜望峰を経由する迂回ルートを採用するケースが増えている。

「しかし、燃料費はただでさえ高騰しており、遠回りするのでその分余計にかかります。当然、それは物価に上乗せという形で反映せざるを得ないわけです」(前出・記者)

 2月23日にはブラジルでのG20外相会合を終えた上川陽子外相がパナマを訪問。同国のコルティソ大統領との会談後には、パナマ運河の安定利用などを盛り込んだ外交方針「中南米外交イニシアチブ」を発表したが、現地でのエルニーニョ現象が続くようだと安定した通航の確保は今後も当面は難しいだろう。

 パナマ運河なんて地球の裏側の話で関係ないと考えている人も多いと思うが、実は我々の生活にも大きく影響しているのだ。

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