米Amazonはアメリカ国内に展開していたアパレルの実店舗「Amazon Style」を11月9日までに全店閉店した。これまで同社はECサイトだけでなく、書店やスーパー、コンビニなど多くの実店舗を展開しているが、成功しているとは言い難い状況が続いている。
「Amazon Styleは2022年5月にカリフォルニア州グレンデールに出店し、同10月にはオハイオ州コロンバスに2号店をオープン。商品のQRコードを読み込むことでサイズや色などの商品情報を確認でき、希望のものをアプリで選択すると店員が試着室まで持って来てくれるといったサービスを提供していました。しかし、利用者があまり増えなかったのか、出店からわずか1年半で幕を下ろすこととなってしまいました。なお、同社広報によると、今後は食料品の実店舗に注力していくとしています」(ITジャーナリスト)
昨年、Amazonは書店を扱う「Amazon Books」を全店閉店させると、星4以上の人気商品だけを扱う「Amazon 4-star」やショッピングモールなどに出店していた小規模店「Amazon Pop Up」からも撤退した。さらに、大きな話題となった無人のレジなしコンビニ「Amazon Go」や食料品店「Amazon Fresh」も多くの店舗を閉鎖し、新規出店も一時見合わせるなど厳しい状況が続いており、リアル店舗の売上は同社全体の1割にも満たない。
「Amazonの実店舗が苦戦している理由は単純明快で、お店で買うよりも家まで届けてくれるEC店の方が便利だからです。アパレルもそうですが、ある程度サイズのあるものは持ち帰るのが面倒なので、実物を実店舗でチェックしてネットで注文という人も多かったと考えられます。なので、今すぐ新鮮なものが必要な食料品店に集中するというのは正しい判断でしょう。ただし、実店舗が苦戦しているとはいえ、同社全体の売上は非常に好調なので、店舗を畳むことについて、そこまで大きな問題として捉えていないのではないでしょうか」(同)
Amazonにとってリアル店舗の運営はテストくらいの位置づけなのかもしれない。
(小林洋三)