Amazonが7年ぶり赤字転落で「アレクサ」事業見直しの致し方ない理由

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、アマゾン・ドット・コムが不採算事業の見直しを進め、その中に音声アシスタント機能「アレクサ」も含まれている可能性が高いと報じた。

 同紙によると、アマゾンは7年ぶりの赤字転落によって不採算事業を精査していたといい、年間50億円以上の営業赤字を計上していたアレクサを扱う部門も見直しが行われ、コスト削減が進められるという。

 アレクサに新たな機能を追加する場合、多くの投資が必要となるが、ほとんどのユーザーは限られたいくつかの機能しか使用していないため投資規模を縮小すると見られている。ただ、アマゾンの広報担当者は、アレクサは今後も重要な事業であり、その将来については楽観的だとしている。

 この報道に対してユーザーの声は《アレクサは便利なものだと思うけど、設定が複雑すぎて結局は諦めている》《昔は色々とリンクさせてみたりしたけど、結局安定して使うのは音楽をかけたり天気予報を聞く程度》など、アレクサは最小限の機能で問題ないといった意見も少なくない。

「UXコンサルティング&リサーチのイードが今年6月に公開したアンケート調査によると、音声アシスタントの利用経験者は5割強だったものの、『日常的に話しかけている』という人は1割程度しかいませんでした。またスマートスピーカーの保有者の4分の1は、持っていてもあまり使っていない状況にあり、利用用途としてはやはり音楽や天気予報を聞く、アラームをセットするなど簡単な操作がほとんど。家電を操作するなど複雑な機能はあまり利用されていないことが明らかとなっています。10月26日にはLINEがAIスピーカー『CLOVA』の販売終了し、音声アシスタントのサービスも終了させると発表しましたが、音声アシスタントは結局シンプルな使われ方しかされず、収益化が難しいという側面もあるようです」(経済ジャーナリスト)

 アレクサのサービス終了はなさそうだが、現時点でその将来はそう明るくはない。

(小林洋三)

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