ボジョレー・ヌーボーが16日に解禁された。周知のとおり、ボジョレー・ヌーボーとはフランス・ブルゴーニュ地方南部にあるボジョレー地区で、その年に収穫したブドウを使った新酒のことで、毎年11月の第3木曜日に解禁される。
ボジョレーといえば気になるのは、サントリーが毎年発表している味わいを表現したキャッチコピーだろう。10年前の2013年は「豊かな香りと、凝縮感のあるフルーティな味わい」だったが、翌14年には「ラズベリーを思わせる華やかな香りが溢れる、果実味豊かな味わい」とラズベリーが登場。さらに15年は「完熟したチェリーを思わせる『果実味あふれる、まろやかヌーヴォー』」と、チェリーが飛び出した。
その後も「ベリー」や「フレッシュないちご」「ブラックチェリー」「甘酸っぱいジャム」など、さまざまな果実に例えられ、もはや原材料のブドウはどこにいってしまったのかと心配になるくらいだ。
「ボジョレーといえば『10年に1度の当たり年』や『50年に1度の出来栄え』『100年に1度の出来』などのキャッチコピーが有名ですが、こちらが公式だと思ったら、じつは現地のボジョレーワイン委員会のリリースをフランス食品振興会が和訳したものを、どこの誰かが大げさに表現して定着したもののようです。毎年評価のインフレが起きていて、『次は1000年に1度か』などとツッコミが入るのがお約束でしたが、さすがに2015年以降は『○年に1度』という表現はなくなっています」(ワイン雑誌編集者)
サントリーが発表した2023年版のキャッチコピーは「まるで摘みたての赤い果実をそのまま口にほおばったような味わい」というもので、例年に劣らぬ味わい深さだとか。
「果実をそのままほおばった」とはどんな感覚だろうか。味わって確認してみたい。
(ケン高田)