ゲーム事業は不調でも…DeNAを救った横浜ベイスターズの経営効果

 プロ野球クライマックスシリーズに2年連続進出して、阪神タイガースとセ・リーグ代表の座を争った横浜DeNAベイスターズ。だからだろう、親会社のDeNAが11月8日に公表した四半期決算(4~9月)では、スポーツ事業が好調で会社全体の売り上げを押し上げた。本来ならば喜ぶべきことなのだが、実際のところ、経営陣にとって思いは複雑だろうという。

「全体の売上収益は約750億円で、営業利益は約48億円。前年同期比でマイナス32.1%なので、そもそも良い数字ではない。理由は売り上げの主体だったゲーム事業がはかばかしくないからで、約264億円の売り上げですが、利益が約4億円しか上がっていないからです。DeNAにはこの他に、ベイスターズのスポーツ事業とライブストリーミング、ヘルスケア・メディカル、新規事業・その他に事業の柱が別れますが、好調なスポーツ以外はいずれもマイナス。だからゲーム事業が利益をもたらしていないことが、そのまま会社の不調となって表れているのです」(経済ジャーナリスト)

 ではそのスポーツ事業の数字はどうかと言えば、約213億円の売り上げで、約75億円ものプラス利益をもたらしている。だからベイスターズ“様様”なのだ。

 1999年に創業したDeNAは、06年に「モバゲータウン」(現・モバゲー)をスタートさせるとこれが大当たり。ただゲーム事業ばかりが頼りでは、足下が覚束ない。ヒットゲームだって常に打ち出せるとは限らないからだ。そこでスポーツ事業として、横浜ベイスターズの経営権を取得。だが当初はチームが弱く、観客動員で苦戦していたのだが…。

「有名なところでは1000人規模の大規模な合コンを主催したりなどのエンタメ化、観戦チケットのキャッシュバックキャンペーンなどで観客動員を伸ばしました。ところが平均観客動員を約3万1700まで伸ばしたと思ったら、コロナ禍で20年には約7800まで激減。するとチームの好調もあって、22年に回復させ、今年は約3万2100と、コロナ前を上回るまでに持ってきたのです」(スポーツライター)

 といったように、紆余曲折を経つつも、スポーツ事業は成功させた。と思ったところに、今度はゲーム事業で陰りが見え始めてきたのだ。

「DeNAは21年4月に、カリスマ経営者だった南場智子さんが元総務官僚の岡村信悟氏にCEOの座を譲って経営のバトンタッチを行いました。その岡村体制で当初は、ゲーム依存からの脱却を図るとしていたものですが、今度は最初はお荷物だったベイスターズへの依存が高まっているというから皮肉なものです」(前出・経済ジャーナリスト)

 だからなんともチグハグな状態に陥っているというわけだが、会社の不調が来季のベイスターズの成績に反映しないと良いのだが。

(猫間滋)

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