現役時代は「FA宣言⇒残留」でファンが泣いたDeNA三浦大輔監督の「いい人」伝説

 日本シリーズでソフトバンクを下し26年ぶりの日本一に輝いた、横浜DeNAベイスターズ。レギュラーシーズンは貯金わずか「2」の3位に終わったが、貯金「42」と圧倒的な強さでリーグ優勝したソフトバンクを負かすという、プロ野球史上最大の下剋上を達成した。

「98年に優勝してから勝てず、現役では優勝できず、監督として優勝できて嬉しいです」と号泣していたDeNA三浦大輔監督は一見、強面に見えるが、怒らず、威張らず、腐らない指揮官だ。

「監督の父・克之さんは阪神の岡田彰布前監督の地元(大阪府・玉造)で生花店を営んでおり、家族全員がトラ党。そんな中で現役時代の2008年オフ、FA権を行使し阪神が獲得に動いていましたが、『番長行かないで!』のコールに残留を決意しファンを泣かせた。その後、フロントに対し『補強をしてほしい、若手の育成にも力を入れてほしい。裏方さんの待遇もあげてほしい』と毎年主張を続けている。『いい人は名監督になれない』などといますが、三浦監督にはそんな“いい人伝説”が数多くあります」(DeNA担当記者)

 DeNAでは2017年から統計学などの専門家を集めたR&D(リサーチ&ディベロップメント)部門を作りデータ分析に力を入れており、球団スタッフに野球キャリアのないメンバーが多いのも特徴だ。

「以前はデータ先行のやり方を嫌がる監督やコーチもいました。21年、三浦監督の就任1年目は最下位だっただけに、余計に反発の声は出たわけですが、監督はデータと感性をバランスよく取り入れたチームを作りたいと常日頃から言っていました。4年目の今季、それが短期決戦という大舞台で実を結んだのだと思います」(前出・DeNA担当記者)

 来季はリーグ優勝から日本一の完全制覇の達成、そして常勝軍団へ導くことができるのか。ハマの番長が「名将」への一歩を踏み出した。

(小田龍司)

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