先日、新幹線のぞみ号の自由席を廃止することを発表したJR東海とJR西日本。ちなみに対象となるのは「最繁忙期」と呼ばれる年末年始とGW、お盆休みの3シーズンで、今年の年末年始(12月28日〜1月4日)から導入される予定だ。
16両編成ののぞみ号の自由席は通常3両250席。帰省ラッシュのピーク時には東京駅のホームに長蛇の列ができ、次の品川や新横浜から乗車しても車内はすでに満員で立ち乗りを強いられることも珍しくない。さらに自由席乗車口から大勢の乗客が乗り降りするため、本来の停車時間より余計にかかる場合もある。今回の自由席廃止にはJR側の混雑緩和とスムーズな列車運行という意図もあるようだ。
「年末年始などの場合、多くの乗客は早めに指定席を確保しています。それに自由席が廃止されるのはあくまでのぞみ号だけ。もともと自由席が5両のひかり号、10両のこだま号は最繁忙期もそのままです」(旅行誌編集者)
そもそも、のぞみ号は運行が始まった92年から03年までは全席指定だったため、原点回帰したと見ることもできる。ネット上でも《もっと早く導入してほしかった》《全席指定になるのは歓迎》など好意的な意見も目立つ。
実際、乗車率が100%を超す帰省ラッシュやUターンラッシュの時期には、立っている乗客に「席を譲れ!」と迫られたというエピソードなどがSNSで複数紹介されている。そうしたトラブルを回避する狙いもあるのかもしれないが、全車指定席にしてもピーク時にはこれまでと同じように車内が立ち乗りの乗客で溢れる可能性は高いという。
「直前になって予定を立てたり、きっぷを購入する人も一定数いるからです。そのため、《自由席を廃止にしても意味がないのでは?》なんて意見もあります」(同)
結局のところ、大混雑の車内はこの年末の帰省ラッシュでも変わらないのかも。
(高島昌俊)