昭和アイドル生告白(2)石井めぐみ、女優から市議へ転身の理由「障害を持つ息子が特別支援学校に入れなくて」

「噂の刑事トミーとマツ」(TBS系)や「俺たちひょうきん族」(フジテレビ系)などに出演し、そのキュートなルックスで男性ファンを魅了した元女優の石井めぐみ(64)。現在は、東京・国立市の市議会議員だ。

 市議会議員になった理由には、重い障害を持つ長男の存在があった。

「本当に色々な壁にぶつかりました。例えば就学の年齢になっても当時の養護学校(現在は特別支援学校)にも行けないと東京都から通知が届いたんです。息子は日常的な医療的ケアが必要でしたが『それは医療行為だから、教員にさせることはできない』と。私は普通にやっていたことなんですけどね。でも、息子につきっきりでは私も働けないし、ずっと家にいたら息子だってきっと楽しくない。それで東京都と交渉をすることにしたんです」

 しかし、事態が進展することはなかった。そんな時に出会ったのが、当時の自民党の中山太郎氏だ。

「中山先生はもともと医師で、障害のあるお嬢様がいらした方なので『よし、わかった』と、当時の文部省と厚生省にすぐに連絡を取ってくださって、両方の課長さんと話すことができたんです。最初は同じような反応でしたけど、最終的には『養護学校の校長先生の裁量の範囲なら』という回答をいただけました」

 つまり「校長先生が責任を取るならいい」というわけだ。

「その時に中山先生が『何かを変えたければ政治家を頼るか、自分が政治家になるしかない』とおっしゃっていて、その言葉がずっと心に残っていたんですね。それで、その後に女性支援のための会社を友人と立ち上げたんですが、その友人たちに後押しされる形で2015年に出馬して、初当選しました」

 今年4月には再々選を果たし、現在は3期目を務めている。

「私は調布市で生まれて、国立市の高校に通っていたのですが、市議会議員になってから国立市がもっと好きになりました。フットワークがすごく軽いんです。例えば今、国立市は教員の数が足りないんですけど、それに対してアイデアを提案すると『そんなに困ってるんだったら試しにやってみるか』みたいな感じで、教育委員会の方もすぐに動いてくださる。通常だと少し様子を見て、議論して、制度を作って‥‥と時間がかかるんですけど、国立市は本当にスピーディー。他の自治体の議員の方に聞くと『いや、うちはそんなに動いてくれない』という方も多いので、そこは助かってますね」

 早稲田大学在学中の79年に芸能界デビュー。「噂の刑事トミーとマツ」の婦警役で人気を博したあと、「俺たちひょうきん族」の「タケちゃんマン」に出演することになる。

「事務所がずっとオファーを断り続けてたんですけど『ちょっとゲストで出るだけだから』みたいな話で、『ちょっとならいいか。勉強しておいで』って言われて行ったんです。そうしたら、いつの間にかレギュラーに(笑)。コントですから台本があるんですけど、そのとおりにやる人が誰もいない。だから私は、台本どおりに一生懸命やって、元に戻すのが役目でした」

 女優の経験も、政治活動の役に立っているという。

「人前に出るという点では同じですし、声の出し方とか、色々役立ってるとは思いますね。あと、私のことを知ってくださってる方にとっては、気軽に声をかけやすいところもあると思います。『そこの草がすごく生えちゃって、バスが来ると車が通れない』とか。本当に危ないな、と思ったら市役所に連絡して対応していただきます。もし言っても動かない政治家がいたら、しつこく言うべきです。それでもダメなら、そんな政治家には投票しないでください」

石井めぐみ(いしい・めぐみ)58年、東京都生まれ。映画「夜叉ヶ池」(79年、松竹)でデビュー。80年のドラマ「噂の刑事トミーとマツ」で人気に。96年、障害を持った長男について書いた「笑ってよ、ゆっぴい」(フジテレビ出版)を上梓。現在は国立市議会議員。

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