“生きていた”プリゴジンの盟友スロビキン将軍、画像公開したのは「プーチンの恩師の娘」だった

 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が6月に反乱を起こして以降、公の場で姿が確認されていなかったことから、逮捕監禁、あるいは既に粛清されているとの噂も出ていたロシア航空宇宙軍の前総司令官、セルゲイ・スロビキン氏とみられる写真が4日、SNSに投稿され波紋を広げている。

 スロビキン氏はシリア内戦で無制限空爆を続け、多くの民間人を殺害するなど、残忍かつ強靭な司令官として知られ、ついたあだ名が「アルマゲドン将軍」。2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻後には、プーチンの肝いりで作戦を指揮する総司令官に任命された。

 しかし戦果があげられず、今年1月には副司令官に更迭。6月に起こった「プリゴジンの乱」では、事前に計画を知らされていたとして同28日、反乱に関与したカドで拘束されたと見られていた。
 
 以来2カ半に渡り、公の場に姿を見せなかったスロビキン氏。今回SNSにアップされた画像は、サングラスをかけた同氏とみられる男性が、妻アンナ氏に似た赤毛の女性と腕を組んで歩いているというものだが、この写真に《セルゲイ・スロビキン将軍が現れた。生きていて、健康で、家族と一緒にモスクワの自宅にいる。写真が今日撮影された》とのコメント添えて投稿したのが、ロシアの著名メディア・パーソナリティとして知られるクセニア・サプチャーク氏だったことで、さまざまな憶測が広がっているというのだ。

 ロシアメディアに詳しいジャーナリストが解説する。

「実はクセニヤ氏の父親は、プーチンのレニングラード大学時代の恩師で、その後サンクトペテルブルク(当時はレニングラード)市長に就いたアナトーリ・サプチャーク氏。当時KGBに勤務していたプーチンに目をかけ、プーチンを首席補佐官の座に据えたのもサプチャーク氏だった。つまり、同氏がプーチンを政界に導いた恩人だと言っても過言ではない。サプチャーク家はプーチンと非常に近い関係にあったのです」

 クセニヤ氏はロシアテレビショーのスター司会者として活躍。一方、社交界でも有名な人物で、その自由奔放な私生活から「ロシア版パリス・ヒルトン」と呼ばれたこともあったが、2011年からロシアの独立放送局で司会者として活動を始めたことで、プーチン反対デモに参加。その後2018年に行われたロシア大統領選挙にプーチンの対抗馬として立候補するなど、行動派のセレブ・キャスターとして名をはせた。

「つまり今回、スロビキン氏のプライベートショットをSNSで公開したのが、プーチンと何かといわくのある女性ジャーナリストだったということ。彼女がどこでこの写真を撮影したかは不明ですが、死亡したプリゴジン氏も、近影がアップされた直後にジェット機墜落事故に巻き込まれていますからね。そんなこともあり、ロシア国内では様々な憶測が飛び交っているようです」(同)

 なおも混沌とするロシアではいま、プーチン氏の“恩師の娘”が伝えた「元総司令官」の動静に注目が集まっている。

(灯倫太郎)

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