反社会的勢力への闇営業で金銭を受け取っていた吉本興業所属タレントが8月19日、次々と東京・新宿にあるルミネtheよしもとのステージに復帰し、観客席から大きな拍手で迎えられている。
7月20日に雨上がり決死隊の宮迫博之とロンドンブーツ1号2号の田村亮が衝撃的な会見を実施してからおよそ1カ月。一連の闇営業騒動に集まる世間の関心も徐々にトーンダウンの様相を呈し始めたこの時期に、“金銭授受は無かった”と当初、嘘をついていた宮迫と亮とは異なり、発信の場を与えられていなかったお笑いコンビ・2700やスリムクラブらが謹慎処分からの復帰を果たした。
“笑うため”にチケット代を払っている観客への気遣いもあるのだろう。湿っぽい空気を極力作らずに、彼らは最小限の謝罪を済ませると、矢継ぎ早に今回の闇営業騒動をイジり、むしろ“笑い”を生み出すことを優先させた。もちろん特殊詐欺グループの被害者がいる中で“笑い”に繋げることには賛否両論あるだろうが、吉本興業からすれば「ルミネtheよしもと」は“自前の小屋”であり、ある程度、笑いを優先することは想定内だろう。
「今回の騒動によって、闇営業をせざるを得ないほどの吉本興業の待遇の悪さに批判の矛先が向く中で、まだ何も成し遂げていない若手芸人でさえSNS上で会社の“ギャラ批判”を展開することもありました。しかし、仮に2700やスリムクラブが吉本興業に所属していなかったら、復帰後すぐに東京のド真ん中にある新宿で漫才を披露することもできなかったでしょう。自前の劇場を全国に保有し、自由にチケット販売を展開できる吉本興業のありがたみを彼らは痛感したはずです。実際、今回の件で吉本興業への不満を述べる芸人が数多いても、他事務所へ移籍したタレントは聞きませんからね」(テレビ誌ライター)
“吉本興業はそこまで悪い会社じゃない”。松本人志が語ったこの言葉の意味を、愚痴に明け暮れていた若手芸人たちはよく理解する必要があるのかもしれない。
(木村慎吾)