管理職以上は悲劇!? ビッグモーター退職社員を待ち受ける転職市場の厳しい現実

 自動車保険の不正請求など組織ぐるみの犯行が明らかになった大手中古車販売のビッグモーター。街路樹への除草剤散布や前時代的な厳しいノルマ、パワハラが横行する社内環境なども報じられ、現役・元社員らによる告発もよく目にするようになった。

 同社は今月中旬に取引先の銀行団との協議を予定しているが、彼らが手を引けば客が離れた同社を自力で再建することは極めて厳しくなる。「不正発覚後も退職者がほとんど出ていない」との一部報道もあるが、今後、従業員の解雇や大量退職は避けられないだろう。

 しかし、仮にそうなってもビッグモーター元社員という経歴がプラスにはたらくことはないだろう。上場企業で採用担当を務めた経歴を持つ大手転職サイトのキャリアコンサルタントは、「店長など管理職以上の方の転職はかなり苦戦すると思います」と話す。

「報道では幹部からのパワハラを証言する店長もいますが、彼らの多くは年収1千万円以上。特に不正が横行するようになったと伝えられる元副社長の兼重宏一氏に代替わりして以降も働いていた社員は、嫌々であっても高い報酬という餌の前に無理を押し付けた側です。板挟みにあって苦しい立場だったのは理解できますが、彼らを積極的に採用したい企業は多くないはずです」(キャリアコンサルタント)

 また、管理職向けの転職エージェント会社の担当者も「今回のように不正が会社ぐるみの場合、管理職として働いていたとしてもキャリアとして評価するのが難しい」と語る。

「もちろん不正に手を染めていない社員も多いでしょうが、外部の人間に見極めは困難です。平社員なら『大変でしたね』と同情を買っても、管理職だとその肩書きがアダになる可能性も。待遇や収入などの条件を選ばなければ転職先はあると思いますが、コネなど頼れるツテがないと、例えば年収600万円以上の求人を出すような企業に採用されるのは難しいでしょうね」(転職エージェント)

 本当に大変なのは今ではなくこれからのようだ。

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