TKO・木下隆行「ホント、犯罪者になった気分でした」/テリー伊藤対談(2)

テリー 俺、今のところ何でそんなに大騒ぎになったのか、全然わかんないんだけど。だって、それって普通のケンカだよね。

木下 ただ、周りから「篠宮に謝れ」っていうのはずっと言われてたんですけど、僕も意地になって、ちゃんと謝れてなかったっていうのはあったんですよ。

テリー 謝るって何を? だってさ、いくら笑いにしたからって、たぶん篠宮さんにも行きすぎたところがあったんだと思うんだよね。現に木下さんは怒っちゃったわけだし。だからお互いに悪かっただけで、別に木下さんから謝る必要もないと思うんだけど。

木下 でも、やっぱり手を出したというか、ペットボトルを投げてしまったことは悪かったですし、芸人としては舞台で起きたことは舞台で終わらすべきやったとは思いますね。そこをいちばん周りからも言われましたし。

テリー まあ、そうか。

木下 で、その3カ月後ぐらいですかね、篠宮と営業が一緒になることがあって、そのバスの中で謝ろうとしたらまた口論になってしまったりとか、なかなかちゃんと謝れない状態が続いてたんですけど、9月になって、そのことが週刊誌の記事になったんですよ。

テリー ええっ、9カ月も経ってから?

木下 そうなんですよ。でも、その時は、僕は兄弟喧嘩みたいなもんやと思ってましたし、「ああ、あれが記事になるのか、へぇ」ぐらいの感じやったんですよ。

テリー そうだよね。

木下 ところが記事が出たとん、今のネットの流れというか、「木下ヤバい」「パワハラ」とか、すごい叩かれてしまって。もう3年ぐらい前の話ですけど、それがきっかけで松竹も辞めることになりました。

テリー 俺、そこがいちばんわからないんですよ。何でこの程度で事務所まで辞めなきゃいけなかったの?

木下 それはもう単純な理由で、これをきっかけに他の週刊誌とかからも「反社と付き合ってる」「未成年の女性に手を出してる」「クスリをやってる」みたいな記事がいろいろ出てきたんですよ。と同時に「クロちゃんの顔面踏みつけ事件」も記事になって。これはバラエティー番組の中でお笑いとしてやったことなんですけど、それも活字で見るとめっちゃ怖いんです。だから、リアルにあったことと、全然ないことがゴチャ混ぜになって、「木下ヤバい奴やったんだ」になっちゃったんですよ。

テリー ああ、そういうことか。

木下 それで松竹芸能に呼ばれて、「木下、こういう記事がたくさん出てるけど、ほんまかどうか教えてくれ」と。で、社員全員の前で、「この記事はウソです。これはちゃんとお笑いになってます」って、ひとつひとつ説明したんですけど、「ちょっと木下のマネージメントはできへん」ってなっちゃったんですよ。

テリー 何で?

木下 やっぱり「これだけの記事が出てる中で仕事を決めて、もし何か問題が起きた場合、賠償金も支払われへん」と。「だから、仕事は取ってこれないけど、それでもいいなら松竹芸能におってもいいよ」って言われたんですよ。それで仕事ゼロになったんです。

テリー へぇ〜。でも、それ怖い話だよね。要するに本当にやったことは関係なくて、噂話でクビになっちゃったわけじゃない。

木下 そうですね。

テリー 俺なんか気が弱いから、もしそんな状況になったら、一睡もできないよ。

木下 めちゃくちゃ怖かったですね。毎日、家の前に記者がいましたから。外に出ることもできないし、ほんと犯罪者になったような気分でしたね。

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