阪神主力投手が続々離脱でも…西勇輝の1軍昇格が見送られた理由

「夏の長期ロード」の始まりと同時に、岡田阪神は先発ローテーションの再編だ。

「これまで5勝を挙げた才木浩人が不振でファーム再調整、体調不良を訴えた大竹耕太郎は『特例2023』で離脱。8月から一軍に復帰する予定だったクローザーの湯浅京己も故障。湯浅は長期離脱の可能性もあり、阪神投手陣はピンチです」(在阪記者)

 とはいえ、ローテーション再編で、西純矢、秋山拓巳、ビーズリー、村上頌樹、青柳晃洋、伊藤将司と8月1日からの6連戦全ての先発投手を揃えてしまうのはさすが。スクランブル体制は変わらないが、一人だけ“蚊帳の外”状態なのが、西勇輝だ。

「7月27日のファーム戦で投げただけ。4日の広島戦で3回6失点と大炎上し、翌日にファーム落ちしているんですが、27日が久々の実戦登板となりました」(前出・在版記者)

 故障でファーム落ちしたのではない。不振による再調整だったが、実戦登板は避けてきた。チーム関係者によれば、西の要望で実戦ではなく、ブルペン投球でコンディションを再構築することになったそうだ。

「その久々のマウンドとなった27日ですが、首脳陣は『一発回答』を期待していました」(球団関係者)

 結果は5回2失点、被安打6。先制点は許したが、その後は走者を背負いながらも粘り強く投げ込んでいた。試合後、西は関西のメディア陣に「投げたいボールを投げて、結果が見たいというのもあった」と、余裕のコメント。失点は気にしていないと言わんばかりで、「感覚的にも良くなったかなという感じ」とも語っていた。同日の登板を映像でチェックした岡田監督が「真っすぐが走ってないなあ〜」と辛口の評価を下していたのは既報通り。西自身の自己評価と指揮官の評価が大きく異なり、「即1軍昇格」が見送られた理由とは…。

「今季の西のストレートの被打率は3割2分5厘。去年は1割7分5厘でした。もともと、真っ直ぐよりもスライダーやツーシームを投げる割合のほうが多いピッチャーですが…」(前出・球団関係者)

 西はファームで1000球以上の投げ込みをしたとも報じられている。しかし、直球のキレとスピードが戻らなければ、岡田監督の構想外のまま。実績のあるベテランとはいえ、「課題」を確認せず、自由調整を認めた二軍首脳陣は、岡田監督から“大目玉”をくらいそうだ。

(飯山満/スポーツライター)

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