7月11日、阪神がDeNAとの首位攻防戦に勝利し、ゲーム差を「2」に広げた。7月に入って初めての連勝である。また、この試合で無失策が「12試合連続」に更新された。
阪神の守備陣といえば、エラーが“付き物”だった。昨年まで「5年連続でリーグ最多の失策数」を記録している。11日の同カードを終了した時点での阪神の総失策数は「46」で、リーグ5位。ワーストは中日の「49」、トップは巨人の「28」。中日とは「3」しか違わないが、キャッチャーのエラーを示す捕逸では79試合で「1」のみ。リーグ最少である。
「岡田彰布監督は就任以来、守備のことは口を酸っぱくして指導してきましたからね」(在阪メディア記者)
昨年の秋季キャンプと今年の春季キャンプ、守備練習では独特の緊張感が漂っていた。岡田監督はノックバットを片手に選手の守備をジッと見つめているだけ。眉間に深い皺を寄せ、時折首を傾げるのだが、ピリピリとした空気が選手たちから怖がられているようにも見えた。
「阪神OBの解説者がグラウンドに下りていくと、独特の緊張感に驚いていました。スポークスマン的な存在の平田勝男ヘッドコーチに話し掛けても、返事も返ってこなかったそうです」(球界関係者)
正確に言うと、返事もできないほど張りつめていた、のだ。平田ヘッドは小声で「今、監督もいるから」と返していたそうだ。
「選手がミスをすると、岡田監督はコーチを叱っていました。選手の守備に入る前段階の動きを指して『なぜ、注意していないんだ』と。だから、コーチも守備練習を緊張して見入っているんです」(同前)
居残りでのノック練習も行われていたが、守備力アップに寄与したのは、こうした岡田監督が醸し出す緊張感のほうだったのではないだろうか。
「12試合連続無失策は選手たちも知っています。だから試合中、『自分が記録をストップさせてしまったらどうしょう…』と緊張していますよ」(同前)
12日にも連勝して連続無失策試合は「13」に伸びた。この緊張感が重圧にならなければいいが。
(飯山満/スポーツライター)