名古屋城天守閣を“完全再現”するにあたって6月3日に開かれた「バリアフリー市民討論会」。木造で建造するとなると、エレベーターの設置が困難になるため、意見交換が行われたのだが、そこで障害者への差別発言が飛び出し、大炎上を招いている。
問題となった討論会の様子を伝えたのは6月6日放送の「めざまし8」(フジテレビ系)。討論会では、車椅子を利用する男性が「(現在の)名古屋城、大阪城はエレベーターで上がれてます。新しくすると、それがなくなるっていう。今まであったものをなくしてしまうっていうのは、我々障害者が排除されているというふうにしか思えません」と、バリアフリー化を訴えた。
これに別の参加者男性は「平等とわがままを一緒にすんなって話なんですよ」「エレベーターも電気もない時代に作られたものを再構築するっていう話なんですよ」と述べて、バリアフリー化を「荒唐無稽」と否定。「ずうずうしい」「我慢せえよ」「お前が我慢せえよ!」と強い言葉で障害者の男性を罵倒した。また、別の男性が差別用語を口にして「本当の木造を作ってください」と訴えると、会場には拍手が沸き起こった。
会場にいながら、この差別発言を制止せずに黙認していたのが、河村たかし名古屋市長だった。その場では笑顔で「熱いトークもあってよかったですね」と振り返っていたが、後に批判の声が高まると、6月5日の定例会見で謝罪。しかしその後、「いろんな意見が出てくるのは当たり前のことなんであって、それを禁止するというのは恐ろしいことですよ」と、差別発言を容認する姿勢を見せた。
「番組は討論会で罵られた男性を独自取材。『死にたくなった』と当時の心境を吐露しています。河村市長の『発言を禁止することは恐ろしいことですよ』という発言に対してMCの谷原章介さんは『人を傷つけるほうがよっぽど恐ろしい』とド正論を述べていました。コメンテーターの立岩陽一郎さんは、もしも障害を持つ人間が天守閣に上れないのであれば、誰も上がれないようにすべきと持論を展開。ネット上でも《電気のない時代に戻すならライトアップもやめろ》《税金がもったいないなら照明も我慢せえよ!》《名古屋城は暖房も冷房もナシでいいよ》といった声が相次ぎ、大炎上を招いています」(メディア誌ライター)
名古屋城のバリアフリー化について、河村市長は6月12日までに結論を出すとしている。木造天守再建計画は、市外からも注目を集めそうだ。