6月6日~12日の1週間にAsageiBizで配信し、大きな反響を呼んだ記事を紹介する。「老後資金に4000万円必要」との試算も飛び出し、悲鳴をあげる中高年層の泣き面に蜂。朝の情報番組「めざまし8」解説者による年金説明が、高齢者の気持ちをいちいち逆なでするとして批判が相次いだ。(初公開は6月7日)
◆ ◆ ◆
「死ぬまで働けってか」「年金じゃ生活できないから自助努力ってか」などと悲嘆の声が寄せられたのはフジテレビ系「めざまし8」。6月5日放送回のワンコーナー「News わかるまで解説」で年金問題を取り上げたのだが、その内容が物議を醸している。
6月から支給される2024年度4月分と5月分の公的年金は、物価高などの影響もあり、昨年度比で2.7%増。第1号被保険者は1750円アップした6万8000円を受け取る計算になる。しかし、物価の変動率は2.7%を上回ることから、実質は「目減り」した状態となっていることを伝えた。
番組コメンテーターでタレントの矢沢心は、「年金に対する不安って何も払拭されてなくて…」と不安をあらわにし、「これで安心できるのだろうか」と疑問を呈した。これに対して、社会保険労務士や税理士などの資格を持つ“お金のプロ”で解説員の佐藤正明氏は、「年金で全部が今までと同じような生活できるような形で支給する、そういうものじゃないんですね」と前置きしてこう続けた。
「あくまで最低限のものであって、自助努力っていうのがその上に必要なわけですよね。だから『全部良いですよ~』とみなさんが立派に生活できるような形の年金を支給しちゃうと、みんな遊んじゃうでしょ?っていうこともあるわけです」
MCで俳優の谷原章介が「遊ぶ?」と反応すると、佐藤氏は「税金として保険料もかなり高くなっちゃうんですよね」と“現役世代”の負担がますます増えると説明していたが、SNSでは《高齢者が年金で遊んだら悪いのか》《年金で立派な生活できるようにしてよ》《年金で遊びまくって無駄な施設を作りまくったのは厚労省だよ》《税金使ってエッフェル塔前で遊んだ政治家の責任は?》などと怒りのコメントが殺到していた。
「番組では年金受給の年齢を繰り下げるなど、受給額を増やす方法について解説。平均寿命で亡くなると想定した場合、最も良い受給開始年齢は男性が67歳、女性が70歳とのことでした。ただし、この数字は単純計算によるもので、今後の医療費の窓口負担の増加、国民健康保険や税金の増額などを想定すると、必ずしもこの年齢がベストではないとか。司会の谷原さんが専門家の佐藤氏に『いくつぐらいですか?』と尋ねると、返ってきた答えは『少なくとも70過ぎくらいでいいんじゃないですかね』というもの。谷原さんは現在65歳の風間晋解説委員に『頑張って働きましょう』と励ましの声をかけていましたが、これにも《死ぬまで働けってか》《死ぬまで働く自助社会》といった反応が寄せられていました。佐藤氏の解説はとてもわかりやすかったのですが、視聴者には“政府の回し者”のように捉えられてしまったのかもしれません」(メディア誌ライター)
今後も物価が上昇を続ければ、4000万円もの老後資金が必要との試算もある。高齢者に限らず、国民がこれだけ多くの不安を抱えていれば、景気が上向かないのも当然かもしれない。