他人の声になりすますことができる「AI音声」が注目を集めている。TBS系情報番組「ひるおび」では、スタジオで岸田文雄総理に似せた声を再現したものの、あまりの悪ノリに《不謹慎すぎる》《シャレになっていない》などと批判の声が殺到している。
5月24日の放送では、スタジオにAIスタートアップ創業者の安野貴博氏を招いて、AIによる音声の変換を実演。宇内梨沙アナウンサーが白いマイクを手に取って紹介すると、安野氏は「その機器はマイクなんですけど、向こうのノートパソコンの中で動くAIの学習をさせていただきました」と解説。マイクに音声を吹き込むと、ほぼリアルタイムで岸田総理そっくりの声に変換されていくという。
宇内アナがマイクに向かって声を吹き込むと、スタジオには「こんにちは。恵さん、どうですか」と総理そっくりの声が響く。司会の恵俊彰をはじめ、出演者からは驚きの声があがった。
司会の恵は「『G7サミット、うまくいきました』って言ってくださいよ」と宇内アナにリクエスト。すると、「G7サミット、うまくいきました」と、まるで岸田総理が話しているような音声がスタジオに流れた。そこで恵が「解散は秋ですか?」と尋ねると、ジャーナリストの鎌田靖氏が「明日解散します」と言うように提案。恵が「『明日解散します』だって、言ってほしいのは」と繰り返すと、宇内アナもそれに応じて、「明日解散します」という岸田総理のAI音声が、はっきりとオンエアされてしまった。
「ニセ総理の“解散宣言”に、スタジオでは『まずいまずい』『フェイクニュース』とツッコミの声があがって、司会の恵さんは『オレ、言わせてないですよ、あの人です』と責任をなすりつけるように鎌田さんを指さしていましたが、冗談とはいえ、衆議院の解散を宣言するのは悪ふざけが過ぎたかもしれません。SNSでも《音声を切り取られて悪用されたらどうするんだ?》《テレビがフェイクを仕掛けるのはアリなのか》といった批判が寄せられています」(メディア誌ライター)
内閣支持率のアップを背景に、岸田総理がいつ解散に打って出るのか。解散宣言が出たとしても「フェイク」を疑わなければならなくなった?