話題の分散型SNS「Bluesky」が「ツイッターの受け皿」になりえぬ理由

 イーロン・マスク氏が買収して以降、ツイッターには様々な変更が加えられ、これに不満を持つユーザーが続々と別のSNSへの乗り換えを進めている。そんな中、乗り換え先の「本命」として注目を集めているのが、ツイッターの共同創業者のジャック・ドーシー氏が携わる分散型SNS「Bluesky」だ。果たして「ポスト・ツイッター」となることができるのだろうか?

「Blueskyは2019年にドーシー氏によってプロジェクトが立ち上げられ、今年2月にiOS、4月にはAndroid向けのベータ版が公開されました。ユーザーインターフェースはツイッターとそっくりで、ツイートに該当する『スキート』やタイムラインに該当する『スカイライン』があり、投稿に対して『いいね』をすることも可能です」(フリーライター)

 現在、Blueskyは招待制となっていて、待機リストに登録するか、すでに参加しているユーザーから招待してもらわなければ参加することができない。アメリカでは人気政治家がアカウントを開設したことから参加希望者が急増。現在100万人以上が待機リストに登録した状態になっているといい、オークションサイトでは招待コードが高値で取引されるほどだ。

「急激な人気の過熱ぶりは音声SNSの『Clubhouse』が登場した時を思わせます。ただ、このままBlueskyがツイッターに取って代わる存在になれるかというと難しい。その理由としては、まず招待制であることが挙げられます。もちろん、正式版がリリースされる際には招待制ではなくなると思いますが、ユーザーが増えればサーバーの維持費もかかる。いまだ収益をあげるための方法が示されていないBlueskyが、すぐに多くのユーザーを受け入れられる状況にはないと考えられます」(ITジャーナリスト)

 また、「分散型」という点にも問題があるという。

「分散型SNSはツイッターのような中央集権型に比べて、分かりやすく言えば自由度が高いのですが、一方でユーザー側にある程度の知識がないと使いこなすのが難しい部分もあります。同じ分散型SNSの『Mastodon』も昨年末にツイッターからの乗り換え先としてアクティブユーザーが一時250万人に到達していましたが、その複雑さから今年1月末には140万人まで急減している。Blueskyが自由度の高さを追い求めるのであれば、ツイッターに取って代わる存在になることは難しいと思います」(前出・ITジャーナリスト)

 SNSは、簡単な操作で使える気軽さが何より重要なのかもしれない。

(小林洋三)

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