プーチン大統領、首の「深い傷跡」と前線訪問日の「ウソ」に隠された意味とは

 今月16日、ロシアとウクライナ各地で、イエス・キリスト復活を祝うキリスト教東方正教会の復活祭(イースター)が行われた。しかし、この日もロシアによるウクライナへのミサイル攻撃の手は緩むことはなく、ウクライナ国営通信社「ウクルインフォルム」によれば、南部ミコライウ州で10代の若者2人が死亡。ザポリージャ州では教会が破壊されるなど、各地で多数の被害が出ているという。

 復活祭の日、プーチン大統領はモスクワにある救世主キリスト大聖堂で行われた正教会のイースター礼拝に出席。ところが、その際に撮影された1枚の写真が注目を集めているというのだ。

「写真は、大聖堂内で神妙な面持ちでろうそくを持つプーチンの姿をとらえたものですが、よく見ると、首に傷跡のような深いシワが見える。すると翌日、ウクライナのある国会議員がYouTubeで写真を示しながら『(プーチンは)教会で昨日、あまり元気そうではなかった。動くのも大変そうだった。彼の首には傷跡がくっきりと見える。よく見るとZの文字に似ている』とコメント。すぐにウクライナ人ブロガーらもテレグラムチャンネルで追随し、『最近何らかの医療処置を受けた傷跡ではないか』といった健康不安説が再び騒がれることになったのです」(ロシアウォッチャー)

 プーチン氏の健康状態を巡っては、これまでにも甲状腺がん、パーキンソン病など、さまざまな噂が流れたが、どれも憶測の域を出ていない。

「昨年にはロシアの独立系メディアが、プーチンが甲状腺がんの専門医を頻繁に同行させているとして、甲状腺がん説を大々的にぶち上げました。さらに、ベラルーシのルカシェンコ大統領との会談の際に手足が震えていたことから、がんだけでなくパーキンソン病も患っているとの報道が相次ぎ、ついにはウクライナ国防省の情報総局長がプーチンのがんは末期で『死期が近い』と発言、波紋を広げたこともありました。むろんロシア当局は、プーチンが深刻な健康問題を抱えているとの報道について、『根も葉もないデタラメだ』と繰り返し否定していますが、今回の写真でまた重病説が再燃しそうです」(同)

 一方、プーチン氏が17日にウクライナ南部ヘルソン州と東部ルガンスク州を訪問したというニュースを巡っては、「アゲンストボ」や「メドゥーザ」ほか、ロシアの複数の反プーチン派独立系メディアがこぞって「ウソ」と報じている。「実際の訪問は16日よりも前だった」というのだ。

「当日はゼレンスキー大統領も東部ドネツク州の前線を訪れており、同氏の現地訪問が見劣りするよう、クレムリン(露大統領府)が意図的にプーチンの訪問日を修正して発表した、というのが独立系メディアの分析ですが、では、事前収録しなければいけなかった事情とはいったい何だったのか。そこで、首の傷跡を巡り、医療処置を受けたのでないかといった憶測が広がっているようです」(同)

 はたして、首の傷と前線訪問を事前収録しなければならなかった理由との間に接点はあるのか。謎は深まるばかりだ。

(灯倫太郎)

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