金正恩がすがる北朝鮮「長寿研究所」のヤバい実態(1)身の毛もよだつ「血の健康法」

 金日成政権から代々の最高指導者を支え続ける「長寿研究所」をご存じだろうか。朝鮮労働党・金正恩総書記(39)に「健康不安」が囁かれる中、国家体制の浮沈を握る超極秘機関の実態に迫る。

「『キム・ジュエ』と言われる娘が後継者である可能性は高いと思います。去る3月9日に西部戦線で行われた砲兵部隊の『火力襲撃訓練』の視察に娘を同行させていたと報じられました。これまでミサイル試射などの軍事実験に立ち会わせたことはあっても、実戦演習に来たのは初。これは象徴的な出来事と言えます」

 こう話すのは北朝鮮専門情報サイト「デイリーNKジャパン」編集長の高英起氏。後継者が一気に存在感を強めてきたことで、改めて正恩氏の体調面に注目が集まっている。

「今年で39歳。この10年の流れで言えば、明らかに〝劣化〟が進んでいるとも言えます。ただ、一昨年に激ヤセが伝えられた時は、コロナ禍もあって、視察などでほとんど姿を見せず、『影武者説』などという質の悪いデマが流れました。その頃に比べると、むしろ顔色はよくなっていますよ」(高氏)

 正恩氏の体調をサポートしているのが、故・金日成(享年82)が100歳まで生きられるよう、76年に設立された「長寿研究所」だ。北朝鮮情勢に詳しい龍谷大学の李相哲教授が解説する。

「年度によってばらつきはありますが長寿研究所こと基礎科学院には1800人の職員がいます。労働党中央委員会の財政経理部の管轄で、人間はどのくらい長生きできるのかを研究。金正日政権では、彼と体重や身長が似ている人間を選抜し、長寿に効果があるとされる食物を与えていました。いわば生体実験ですね」

 この長寿研究所の傘下には、主に3つの研究機関が存在するという。

「役割はそれぞれ異なり、『万年、青春を生きられるように』との意味合いを込めて作られたのが万青山研究所で、アフリカのサイの角(犀角)や胆のうなど、精力がついたり体にいいものを調達してくるのが主な仕事。護衛司令部が管轄する青岩山の研究所には約400名が働いていて、正恩が視察などで民衆と触れ合う際、感染症をうつされないよう、様々な対策を講じています。これらすべてを含めると、金一族の健康、長寿のために3000人の研究員が動員されていると言われています」(李教授)

 元研究員の女性が脱北後の02年に上梓した「金日成長寿研究所の秘密」(文春文庫)には身の毛もよだつ「健康法」が明かされていた。

〈採血組。文字どおり血をとる人たちのことを指す。(中略)採血組に抜擢されると、あらかじめ三年ないし六年あまりにわたって身体鍛錬訓練を受けねばならない。金日成の老化防止と新陳代謝活性化のために血をささげる採血組が健康でなければ、何の意味もないからだ〉

 この「血替え」と言われる大量輸血の話は、国外に漏れ伝わり「金正日は処女の血を好んだ」と報じる韓国メディアもあった。

「直接、金正日に血を入れたかどうかはわかりませんが、様々な生体実験をしてきたのは確かです。他の国では倫理的に許されないような人体実験が行われてきた可能性もあります」(李教授)

 生き血をすするとは、まさにこのことではないか。

(つづく)

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