金正恩が対韓コンプレックスを爆発させる「軍事境界線付近にスタバ」

 11月29日、韓国の北西部に位置する金浦市月串面の愛妓峰平和生態公園展望台に、「スターバックス」がオープンした。この展望台は北朝鮮の開豊郡の村や松岳山を眺めることができ、北朝鮮領土からわずか1.4キロしか離れていない場所にある。

 金浦市はスターバックスと協力し、グッズやシグネチャードリンクなどの記念品を販売する予定で、愛妓峰には文化・芸術イベントや国際会議が開催できる複合文化施設を新たに建設、モノレールを設置するなど、拠点観光団地開発の計画も進めている。

 観光事業の一環だろうが、今回の米系コーヒーチェーンの開店は、北朝鮮という国家の本質を全く理解していない行動といえる。北朝鮮の金正恩氏はスイスにも留学経験があり、自国がいかに他国から経済的に遅れをとっているかを熟知している。また、同じ朝鮮民族であるにもかかわらず南は近代的な発展を成し遂げ、このどうにもならない格差には強い不満とイラ立ちを抱いている。

 愛妓峰は南北軍事境界線に近く、民間人の立ち入りを制限している区域で、検問を通らなければ入れない。スタバの上階には韓国軍事施設が入る物々しさだが、外国人観光客などがスタバで買ったコーヒーを優雅に飲みながら北朝鮮を眺める…そんな光景を考えれば、正恩氏が屈辱的な思いをすることは間違いない。

 これで北朝鮮が愛妓峰にミサイルを撃ち込むことはないだろうが、韓国に対する態度をますます硬化させることになる。南北の距離をますます遠ざけるスターバックス開店なのである。

(北島豊)

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