2020年サイ・ヤング賞、トレバー・バウアー投手の入団で横浜DeNAベイスターズに注目が集まっている。しかし、来日後はさらに注目度が高まるだろう。それは単に「スター選手だから」ではない。
「バウアーは練習が独特というか、特別なんです。米国でこれまで積み上げてきたものを日本に来て変えるとは思えないので」(在米ジャーナリスト)
バウアーがブレイクしたのは、インディアンス(現ガーディアンズ)に在籍していた18年シーズンだった。スライダーのキレ味が増したことに加え、「首脳陣の理解、寛大さ」も大きかった。彼が「ちょっと変わっているヤツ」と呼ばれてきたのは有名だが、その“変人ぶり”をもっとも発揮するのは「練習に関して」なのだ。
「身体的にも恵まれず、才能もない自分が他の人と同じ練習をやっても効果がないと学生時代に悟り、全米を回ってさまざまなトレーニング法を学んできました。その姿勢はダイヤモンドバックスに1位指名された後も変わりませんでした」(現地記者)
ルーキー時代のことだ。コーチの側からすれば、「好き勝手なことをしている」と映ったのだろう。注意すると、量子物理学や運動力学の専門用語を並べ、コーチたちを煙に巻いていたそうだ。そのため、わずか1年で放出されることになったが、インディアンスでは「好きにしていいよ」と許された。
「MLBでの実績があるので、練習方法についてDeNAでモメることはないでしょう」(ベテラン記者)
また、三浦大輔監督の温厚な性格からみてもバウアーの自由は認められるはずだが、こんな意見も聞かれた。
「もしもバウアーが連打で大量失点する場面があったら大変ですよ。三浦監督は交代のタイミングをためらうかも」(同前)
バウアーはかつて、不本意な投手交代に憤激し、ボールをスタンドに投げ込んだことがあった。DeNAではやらないと思うが、バウアーに交代を告げるとき、三浦監督がどんな言葉を掛けるのか興味深い。
「バウアーが交代に納得し、後続投手をねぎらうようなことがあれば、その映像は全米で放送されますよ」(前出・在米ジャーナリスト)
やはり、DeNAは日米双方から好奇の目で見られることになりそうだ。
(飯山満/スポーツライター)