鈴木宗男「ウクライナに日本と同じ轍を踏んでほしくない」/テリー伊藤対談(1)

 昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻。以来、時に「ロシア擁護」との批判を浴びながらも一貫してそのスタンスを崩さない鈴木宗男氏。長年にわたってロシアと深い関係を築いてきた氏の真意とは? ウクライナから北方領土問題まで、天才テリーが切り込んだ。

テリー ロシアのウクライナ侵攻が始まって、もう1年になります。その間、宗男さんは基本的にロシア擁護の立場ですよね。

鈴木 いやいや、擁護じゃなくて、私は正しいことを言ってるんです。

テリー 主張としては、まず「とにかく停戦だ」と。

鈴木 そうです。まずはお互いが銃を置くことが先です。私がなぜ停戦を主張するかと言えば日本の例があります。78年前、日本は先の大戦で半年早く降伏していれば、東京大空襲も沖縄戦も、広島、長崎に核を落とされることもなかったんですよ。私は同じことをウクライナにはしてほしくないし、させてはいけないと思ってるんです。

テリー それはわかりますけど、停戦できますか。

鈴木 私はG7やG20の首脳が「ロシアはけしからん」と言う前に、「ここは話し合いだ」と言うべきだと思います。

テリー できるかなぁ。

鈴木 例えばトルコのエルドアン大統領は仲介に入ってます。インドのモディ首相もプーチン大統領に電話で「もうここは話し合いだ」と呼びかけてるんですよ。それをアメリカはじめ、日本も支持するんです。

テリー でもロシアは今、ウクライナの国土の20%ですか、侵略してますよね。この状況で停戦と言われてもウクライナの人からすれば、「ちょっと待ってくれ」ってなりませんか。

鈴木 停戦は最終結論ではないんですよ。まずは命を取っちゃいけないし、命をなくならせちゃいけない。停戦が先で、話し合いはその後です。

テリー でも話し合いって、最終的には条件闘争になるじゃないですか。すでに侵略した土地をロシアが手放すはずがないですよね。どういう条件ならプーチンは納得するんですか。

鈴木 武器供与、資金援助が続けば長引くだけです。G7、G20の主要国が中に入り、話し合いの場を作ることです。クリミアの時も仏、独が中に入り、ミンスク合意ができた。そして、住民投票に持っていった。

テリー そんな住民投票があてになりますか。

鈴木 でも、選挙という手続きを取っていることは間違いないわけですよ。

テリー いや、ロシア占領下での選挙の結果を認めろと言われても、それはさすがに誰も納得しませんよ。宗男さんは、侵略された土地は諦めて、ロシアに渡せと言うんですか?

鈴木 違います。まず撃ち合いをやめさせるんです。テリーさん、よく考えてください。ウクライナが今なぜ戦えるかと言えば、アメリカから兵器をもらってるからで、ウクライナは自前では戦えないんですよ。日本も78年前、大本営発表を聞かず、半年早く降伏していれば、犠牲はもっと少なくて済んだんです。

テリー 要は「ウクライナは降伏しろ」と?

鈴木 自前で戦えなければやめるべきじゃないですか。同時にロシアも攻撃をやめたほうがいい。両方に「やめろ」と言うんです。

週刊アサヒ芸能3月2日号掲載

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