鈴木宗男「日本の国益にとってロシアとウクライナのどっちが大事か」/テリー伊藤対談(2)

テリー 宗男さんの主張はわかりました。でも現実的に、僕はこれからもウクライナは戦いを続けると思います。そうなると今後の展開をどう予想しますか。

鈴木 ロシアに経済制裁を科した時、バイデン大統領は「ロシアは2カ月でギブアップする」と言いました。昨年5月の段階です。しかし、今も続いてる。もう1年は続くし、これからも続くんです。

テリー 中国が、もしかしたらインドも裏でロシアを援助しますからね。

鈴木 ただ、援助がなくてもロシアは自前で戦えるんですよ。ウクライナとロシアの力の差は、私と照ノ富士が戦うより大きいです。ならば、無駄な戦いはしないほうがいいんじゃないですか。

テリー 無駄な戦いというのは宗男さんの意見でしょう。

鈴木 ウクライナが戦いをやめなければ、ロシアもやらざるをえないんですよ。だから本来なら、去年のG7で岸田総理が積極的に仲介の労を取るべきだったと私は思います。日本とアメリカの関係はいいんですから。

テリー 岸田さんが仲介に入るはずないですよ。それにアメリカ側についてる日本を、今のロシアは信じてないと思うんですよね。

鈴木 テリーさんね、今、私の知り得ているロシアの情報では「日本はアメリカと一体だ」と。完全な敵国ですよ。

テリー じゃあ岸田さんが間に入ったところでダメじゃないですか。

鈴木 ただね、今年は日本はG7の議長国なんですよ。国際社会の中で日本の立ち位置は重いんです。ですから私はその立場を生かして、日本はトルコやインド、あるいはオーストラリアとも関係はいいわけですから。もちろんアメリカともいいですね。ですから、そういった国と、しっかり連絡を取ってですね。

テリー 連絡を取ると言ったって、岸田さんは1月にバイデンさんに会ってますよね。ヨーロッパの首脳にも会いに行きましたよ。それで今度のG7で岸田さんが何を言うかと言えば、「ロシアとんでもない」「あの侵略を防ぐしかない」と言うに決まってますよ。なのに、岸田さんに期待するなんてナンセンスすぎますよ。

鈴木 私はですね、ウクライナとロシアを見て、日本にとってどっちが大事な国かということを、何でわからんかと思うんです。日本には「遠くの親戚より近くの他人」という言葉がありますね。ロシア、中国、韓国、北朝鮮は、日本にとって隣国ですよ。

テリー わかってますよ。

鈴木 我々個人は隣に嫌な人が来たら、口をきかなくていいんですよ。もっと嫌なら引っ越しもできます。でも、国と国はそうはいかない。だからこそ仲よくしなければいけないんです。

テリー だから「遠くのウクライナを見捨てろ」という理屈は誰も納得しませんよ。

鈴木 いいですか、テリーさん。日本の国益を考えた時、ロシアとは国境線が決まってません。北方領土問題が解決してませんから。

テリー それはわかります。

鈴木 日本はウクライナと付き合わなくても生きていけます。しかし、ロシアと縁が切れたらガスは入ってこない、領土問題も永遠に解決しない。どっちが日本の国益にとって大事かっていうことを、私は考えてほしいんですよ。

週刊アサヒ芸能3月2日号掲載

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