ねづっちです。またまたよろしくお願いします。
この前も、ウチの嫁のことをガタガタ言わせてもらいましたが、まだ言い足りないんで、続きをやらしてもらいます。
とにかく自分のペースに合わせないと気が済まないのか、初めて料理作ってくれた時に、彼女、青森出身なもんで、だいぶ味が濃かったんですね。それで「ちょっと濃いんじゃない」と言ったら、一言返されましたね。
「慣れろ!」
もう、それから一切逆らわないことにしました。
日々の生活でも文句の連続です。トイレ行くでしょ。立ってオシッコをした後、嫁にしょっちゅう「ちょっと来い」って呼ばれるわけですよ。
「見てみろ。こんなに飛び散ってる。次からは絶対に座ってやるんだぞ。まったくお前ってやつは‥‥」
グチグチと小言を言い出すんです。まさしくトイレだけに「手荒い(手洗い)扱いを受けた」ってくらいのもので。しかも、その小言がなかなか終わらない。トイレだけに「とうとう(TOTO)と叱られた」わけですね。こっちも、あまりに怒られたんで「すっかり気持ちは憔悴(小水)しきってしまいました。
しかも、なぜか妙にボクの芸に厳しい。普段でもこっちがツマラないことを言うと、「それでも芸人か!」ってダメ出ししてくるから、油断もスキもない。
この前も、家で一緒に酒飲んでたら、嫁がツマミのピーナッツを口に入れながら突然、ウンチクを語り出すんです。
「ピーナッツってのはな、豆類だからナッツじゃないんだ。ナッツってのは木の実のことをいうんだぞ」
そこでボクが「じゃ、木の実ナナさんはどうなの?」って反応したら嫁が怒りだして、「芸人のクセにクソつまんねえ返しするんじゃねーよ」。そこで、ボクもちょっと考えてから、「木の実ナナでしょ、ナが2つだから、やっぱりナッツでしょう」。
また返したら、嫁、「オチが弱えーよ!」。キビしいんですよ。何とかしなきゃとまた考えて、「木の実ナナさんは歌も唄うから、カシュー(歌手)ナッツだね」。
そうしたら嫁も、「よし! そこまで重ねるならよしとしよう。今度、舞台でやってみな」。
やっと許してくれました。はい、そのネタ、舞台でやってます。
ボクが毎日YouTubeにあげてる動画も、撮ってくれてるのは嫁だし、朝、ゴルフ行く時なんかも、「てめー! まだ寝てんのかよ! ふざけんなよ!」とわめきながら起こしてくれるし、ボクのライブにもよく顔出してくれて、「ウチの嫁」ネタやっても手を叩きながら笑ってくれるし、よくよく考えたらけっこう協力的なのかもしれないですね。いかん、ガタガタ言うつもりが、ちょっとノロケが入っちゃいました。
ありがたいことにYouTubeやTikTokのおかげで、ボクの単独ライブに来てくれるお客さんも、すごく年齢層が広がったんです。前ならほぼオジサン層だったのが、今は高校生まで来てくれたりする。わざわざ地方から来てくれたり。
ただ、ほとんどが男性客。もう9割以上。男の人って女性に比べてあんまり笑わないんですよね。クスリともせずにずっと見てて、終わってから「ムチャクチャ面白かった。笑っちゃったよ」なんて人がいたり。面白いならもっと笑ってよとも思いつつ、そのお客さんの様々なリアクションもまた、楽しむようにしてます。ちょうど、埼玉に遊びに行った気分かな。「反応(飯能)が面白い」って。
困ったって言ったら、色々なところで「なぞかけやってくれ」と声をかけられることかな。だいたいは「劇場でお題出してください」ってお願いするんですけど、中には「ウチのコがどうしてもねづっちさんのなぞかけを聞きたがってる」なんて小さい子供連れの方もいる。それで一応、その子に「じゃあ、お題は?」。聞くと、本人は「お題?」ってポカンとしてる。そもそもその子がボクを知ってるのかもわからなかったり。なぞかけすべきかどうかも迷ってしまいますよね。
おかげさまで、営業も多い時で月に6〜7回ペース、北は北海道から南は九州沖縄まで行かせてもらってます。バカウケしたところ、ちょっとスベり気味だったところ、色々ありましたね。中でも忘れられないのが、ある地方の会社のパーティー。これがヒドかった。300人は入るようなホテルの豪華な宴会場は、もう従業員で超満員。オープニングには社長が登場して挨拶です。紳士的なんですね。「皆さんのおかげで、会社も大いに発展しました」みたいな。
ところが1時間くらいして、ボクの出番になって出て行った頃には、もうその社長がベロンベロン。他の人たちも酔っ払ってて、こっちのネタなんか聞いちゃいない。さらにキョーガクの事実がわかったんです。従業員の3分の1以上が外国人で、日本語全然ダメ。これじゃ、ウケるわけない。
ところが、ボクの後に出た女性のモノマネ芸人はセクシー系の水着みたいな衣装で、みんな大盛り上がり。オヒネリもらいまくってた。「だったら、おれ、いらねーだろ」とスネてたらエンディングで、酔ってフラフラの社長がボクをステージに呼び込むんですね。それで横に立たせて、いきなりこうですよ。
「ねづっちとかけて北海道ととく。そのココロは『さむーい!』」
ジョーダンじゃないっつーの! これじゃ、ととのえないっつーの!
ガタガタ言いたい嫁のこと。それにライブのお客さんのこと、困った営業のこと、みんなひとまとめにして、ととのいました!
ねづっちでした!
ねづっち 芸人。1975年2月18日生まれ、東京都出身。プロデューハウスあ・うん所属。落語芸術協会と漫才協会の寄席に出演中。2014年、YouTubeチャンネル「ねづっちチャンネル」を開設。毎日、動画を公開している。