大手自動車メーカーのスズキは2月7日、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子を社外取締役に起用すると発表した。6月の株主総会を経て正式に就任するという。
「スズキによると、スポーツ分野の第一線を退いたあとも社会貢献活動に従事してきた経験から、助言や指摘をもらうために彼女を社外取締役に選定したといいます。ちなみに高橋は昨年6月にも不動産管理会社のスターツコーポレーションの社外取締役にも就任しており、スズキは2社目。社外取締役には外部の目から経営を監視するという役割があります」(情報誌ライター)
ここ数年、女性タレントやアスリートの「社外取締役」起用が相次いでいる。21年3月に女優の酒井美紀が不二家、22年5月にはいとうまい子が学習塾を運営するTOMAS、同6月には参議院議員でもある生稲晃子が美容室チェーンを展開する田谷、といった具合で、アスリートでは、元女子マラソン選手の有森裕子や元陸上選手の為末大などもスポーツ関連企業の社外取締役を務めている。
だが、高橋の起用には疑問の声も上がっているのだ。
「有森のようにスポーツ関連の企業であればまだ理解はできますが、自動車メーカーや不動産会社ですからね、彼女が本当に適任なのか…。15年に発表されたコーポレートガバナンス・コードによって、上場企業は社外取締役を2人以上起用することが事実上義務化されました。取締役や執行役の業務執行を監督するためで、経団連は、2030年までに役員に占める女性比率を30%に引き上げるように呼びかけている。そこで『好都合』なのが、厳しく経営監視をする専門家でもなく、また企業イメージも上がる女性タレントや元女子アナ、女性アスリートの起用というわけです」(経営コンサルタント)
すべてが「女性タレント=広告塔」というわけでもないだろう。ここはひとつ、Qちゃんの「経営監視」に期待しようではないか。
(小林洋三)