世界で最も売れた車「ビートル」生産終了で悔やまれる2代目以降のつまづき

 独フォルクスワーゲン(VW)が先ごろ、メキシコのプエブラ工場で「ビートル」の生産を終了したと発表した。同車は1938年に登場し、世界で最も売れた大衆車として知られ日本でもお馴染みだが、約80年の歴史に幕を閉じることになった。
 
「『ビートル』は、あのアドルフ・ヒトラーの“国民車構想”のもと、後にポルシェを創業するフェルディナント・ポルシェが設計して誕生したという歴史的背景を持っています。その名の通り、カブトムシのような独創的デザインが人気で、誕生から2003年までの65年間、フルモデルチェンジすることなく製造されました。1998年からは平行して新デザインの2代目『ニュービートル』が登場し、2011年には3代目となる『ザ・ビートル』も誕生しましたが、どちらも売れ行きが伸びず低迷していたのです」(モータージャーナリスト)

 ビートルの生産終了発表に、ネット上には新旧オーナーからコメントが寄せられおり、《彼女とのデートによく使っていた。大声で話さないと声が聞こえなかったのもいい思い出》《タイプ1はとにかくデザインが秀逸だった》など初代を懐かしむ声が多かったが、一方で《2代目以降はビートルというよりダンゴムシみたいで好きになれなかった》《ニュービートルはデカい上に風切り音もひどくて最悪だった》と、2代目以降の残念なところを指摘する声も少なくなかった。
 
「2001年の同時期にリバイバルを果たしたMINIは、5ドアやSUV、ステーションワゴンなど初代MINIにとらわれず、様々な車種を登場させたことで人気となり、16年からは日本で最も売れる輸入車にもなりました。しかし、ビートルは伝統を重んじすぎた結果、実用性の低い車になってしまい、新しい購買層だけでなくオールドファンも離れていってしまったのです」(同)

 車が売れないと言われる時代の中で、またひとつの名車が姿を消していった。

(小林洋三)

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