シニア再就職のリアル(5)職種別裏カラクリ「リフトマンは深夜残業で月給は30万円超」

 中には天候によって労働環境が一変する職種も。フードデリバリー配達員の真鍋勉さん(56)=仮名=が言う。

「ウーバーイーツ1回の配達で発生する基本報酬が300円から1000円ですが、悪天候になると雨天ボーナスが加算されていきます」

 一方、ポスティングスタッフの石垣徹さん(51)=仮名=はこう嘆く。

「雨が降ると作業効率は80%ダウン。午前中にいいペースで配れていても、午後からの雨で1枚も配れない日はザラにある。広告主からの注文もあって、濡れたチラシを投函するのはNG。そんな日は2000〜3000円にしかならないんだよ。雨天作業が全面禁止の会社の場合は休みになって、収入は0円だ」

 仕事をする上で天気以上にやっかいなのが人間関係だ。警備員・松坂さんがこぼす。

「お店のスタッフの中には警備員を見下して挨拶すら返してくれない人もいます。ここの現場は常時6名の警備員で回しているのですが、同僚イジメも横行していて、私自身、業務に必要な『報連相(報告-連絡-相談)』で除外されたり、評価を下げるような報告を本社にされたこともあります。仮眠中も、皆で使い回している不衛生な布団にくるまりながら、いびきや歯ぎしりといった騒音に悩まされていますよ」

 その点、フードデリバリー配達員の真鍋さんはこう語る。

「一番いいのは人間関係に悩まなくてもいいこと。サラリーマン時代はストレスも多かった。毎日、自転車に乗っているせいか、下半身の勃ちもよくなった気がします(笑)」

 どうせなら収入も多くを望みたいだろう。タクシードライバーはまさにやる気次第でそれが可能だというが、

「規律が厳しいためバリバリ仕事をする大手会社勤務のドライバーは、多くて月収50万円ほど。逆に地方都市の中小で緩く働く、のんびりドライバーでも20万円前後は稼げます」(後藤氏)

 フォークリフトで倉庫内を縦横無尽に動き回り、荷物積み作業をするリフトマンは、週5・5日勤務で月収は額面33万円弱。ボーナスこそないが年収400万円弱を見込めるという。勤続25年の田中富雄さん(54)=仮名=によると、とにかく残業がつきものという。

「ウチらの場合は13時〜22時が定時だけど、毎日3〜4時間の残業が当たり前。ただ、これが収入的においしいんだ。リフトマンの雇用形態は人材派遣会社からの『派遣』。今の俺は時給1200円で給料が計算されている。それが深夜になれば、時給1800円に膨れ上がるってわけ(笑)」

 かと思えば、レンタル重機作業員の坂本浩二さん(68)=仮名=は時給900円で4時間、週3〜4日程度の出勤。仕事をもっと入れたくないかと尋ねると─。

「年金もろうとるとな、働いた収入が多すぎても税金で持ってかれてしまうんよ。それやったらアカンから、こんなもんでええんちゃうかって調整しとる。実はもう1カ所、土木作業の現場で運搬の仕事も掛け持ちしとるんよ。こっちは申告なしでいいようにもろうとる(笑)。年寄りに無理はさせられんって、8時から16時半までの勤務中、2時間程度の休憩もあって、運搬のみで1万円もらえるんやからな。気ぃ遣うてもろて、老人天国やわ」

 いずれもが、たくましく働いている様子が伝わってくる。働く場所はいくらでもあるようだ。

*週刊アサヒ芸能2月16日号掲載

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